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恋人宣言
【女性向け 官能小説】

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「なんで?約束したよね」
メールを受け取ってすぐに部の部屋から出て
給湯室で電話を掛けた。

「悪い。どうしても俺が直接行かないと収拾つかないんだ」

何を言ってもしょうがないことは、同じ仕事をしている身として
本当によく分かってる。

本当によく分かってるんだけど。
「うん。分かった、今度ね」
と、素直に言えない自分がいた。

こんな事を電話口で直哉に言っても誰のせいでもない。
普通の日だったら、今日が誕生日じゃなかったら。
「それは大変だね。気を付けて」って言えるのに。

「それって本当に今日じゃなきゃダメなの?」
ああ・・・
私、最低のことを言ってる。
どこか第三者の目で自分自身の最低の言葉を聞いていた。

「葵・・・お前自分が何言ってるか分かってる?」
分かってるよ!
分かってて惨めだよ!

「それって何の件?」
「広報との共同企画」
「広報に行ってもらえないの?」
「葵・・・」

分かってるよ。
広報の分野での問題じゃないから直哉が行くんだよね。

「もういいよ」

その言葉は威力がある。
その言葉の後ろに何が付くのか。

もういいよ。私の誕生日より仕事が大事なんでしょ。
もういいよ。いつも私の約束はキャンセルだもんね。

もういいよ―――直哉なんて。

何も言わない直哉に

「大好きなお仕事頑張ってね」

最大限の嫌味を言って電話を切った。



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