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MOTHER 『僕』
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MOTHER 『あの子』-2

『あ ごめん。いや だってまだ高校生だろ?!  ましてやもっと幼く見えたって… そりゃお前…びっくりするぞ!』
動揺がバレバレなんじゃなかろうか。
『やぁね 今時の子はそういうの早いのよ!それにあんまりちゃんとした避妊もしないんだって!そんなに動揺して… あなたの学校にも心当たりがあるんじゃないの?』
悪戯っぽく俺を見上げる。今それは何よりもキツイ冗談だ。
『俺のクラスには少なくともいないよ…多分』
うまく誤魔化せただろうか?

入れ直してくれたワインを流し込む。とてもじゃないがシラフではいられない。
落ち着け。落ち着け。まだ確信したわけじゃないじゃないか。

『そもそも何でそう思ったんだ?』

妻はキョトンとした顔をして すぐに満面の笑顔になった。

『だってわかるわよ。私だって子供一人産んでるもの。あの子のあの感じ つわりだと思うの。勘ってだけじゃないわよ。部屋に運んだときも無意識にお腹を抱えてたもの。』

ドクッ ドクッ ドクッ

『でもね あの子 おかしいのよ。最後まで“ありがとう”じゃなくて“ごめんなさい”って言うの。 やっぱり最近の子なのかしらね。使い方間違ってるよね。』
くすくすと思い出したかのように笑いだす。

ドクッドクッドッドッドッ
『あなた?』

まずい まずい まずい

『どうしたの?フフッ くすぐったいよ』
『…酔った。抱きたい』

俺は罪悪感とこのどうしようもない動揺を悟られぬように妻の身体に貪りついた。
何度も何度も種をつけた。
俺の妻はお前だ
俺の家族は今ここにあるものがすべてだ
俺の子はお前からしか産まれない
俺は 俺は 俺は――――
何も失いたくない…………


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