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今から恋を始めよう
【女性向け 官能小説】

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-3


ああ。私、吉野さんの私服姿を見るのも初めてなんだ。

そう感傷的になったのもつかの間、
ここで、見失ったら、もう二度と会えないかもしれない。
そう思って、「吉野さ・・・待って」そう小さくつぶやいた私を―――

本当に偶然に、吉野さんの目が私をとらえた。

「麻子!」

大きな声で。

ロビーに響き渡る声で。

私は吉野さんの声に捕まった―――

吉野さんはその場にスーツケースを置き去りにして。
人の群れを縫って私の方に走り出す。
私も人に軽くぶつかりながら、吉野さんに向かって走り出した。
私たちは人の目も気にせず、

国際線出国ロビーの真ん中で、向き合った途端、キスをした。

「麻子」

周りにいる人が突然走り出した私たちにビックリして。
そして人目もはばからずキスをした事にビックリして。
遠巻きに見ていた。

吉野さんはそんな状況を面白がるように
ギュッと私を抱きしめて。

「ビックリした」
なんて、笑いだす。



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