め-6
「条件の1つ目が、副業を認めること。Y.Coの存続だな」
「・・・・」
「彼の開発したゲームは佐々木さんもやってる。
これってどういうことか分かる?」
「・・・・」
「彼の副収入は、本業の何倍も、下手したら何十倍もあるって事」
野口さんは楽しそうに笑った。
「もうひとつが、システム開発が終わった時に
横浜HDの名前を利用して世界各国のシステムの勉強に行かせてくれること。だ。
だから吉野さんはUKに転任が決まっている」
「・・・・・」
「うちの会社名を使えば、海外でも一個人が入れないところも入れる。
彼はそれを希望したんだ」
「なるほど」
「うちとしては、その条件を飲んでも吉野さんが欲しいほど
彼のITの能力は群を抜いてるってことだよ」
「・・・・」
「そして、今回の佐々木さんが参加したプロジェクトね。
あれは表向きは対社外の注文システムの開始だけど
本意は社内のシステムの総とっかえだ。
そして成功すれば、最高レベルのモノはうちで使うけど、
いくつかのレベルダウンをしてこのシステムを
世界中に売り出すことになる。数十億単位の取引になる予定だよ」
「それを・・・・
それを作ったのが吉野さんなんですか?」
「そう。だから吉野さんには今回のメンバーを決める権限があったんだ」
そんな・・・・
そんな大それた本意が隠されていたプロジェクトだったなんて。
きっと誰も知らない。