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BLOOD LINE
【女性向け 官能小説】

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5-2

結子はタバコをふかし、まぶしそうに空を見た。夏の終わりの空は、海と見分けがつかないほど青く澄んでいた。
「こんな時くらいタバコはよせって。俺が預かっておくから」
結子の手からタバコとライターを取り上げると、胸のポケットに入れた。
「やだ、吸えなかったら死んじゃう」
「吸いすぎても死んじゃうよ。退院したら返すから」
結子はまっすぐ富岡を見た。
「返しに来る?」
「ああ」
「あてにしないで待ってる」
唇を重ね、そっと抱き合った。
「ママがね、一目見て私たちの仲がわかったって。さすがだわ」
「そうなの?」
「早くお嫁さんにしてもらえって。奥さんがいるって言ったら」
「……早く別れろって?」
「取っちゃえって。ママはそう言う生き方をして来た人。私とは違うから」
「済まないと思ってる。もう、はっきりさせなきゃって、思ってるんだ」
「はっきりするわよ。恋愛なんてずっと続くものじゃないから。お互い飽きるか、愛想を尽かすか。どんな形かわからないけど、ずっと一緒なんてないもん」
「そうなのかな」
そのまましばらくの間、手すりにもたれてずっと海を見ていた。自分がもう少し若く、やり直せることができたらと、子供じみたことを考えていた。


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