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アンバランス
【OL/お姉さん 官能小説】

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アンバランス-2

(2)


 私が手作りのクッキーを持って彼を訪ねたのは翌日の夜のこと、明かりが点いているのを確かめて部屋を出た。ちょっと気持ちが弾んでいた。
 ここにアパートがあることは当然知っていたが、眺めたこともなかった。古いモルタルの2階建てで、
(家賃、安いだろうな……)
外壁も薄汚れていて、たぶんお風呂もないだろう。まず若い女性は住まないような雰囲気だった。
 鉄製の階段は靴音が響いた。

『西野博正』
名刺大の紙が画鋲で木製のドアに留められてあった。
 ノックに応えて声変わりしていないようなトーンの高い声がしてすぐにドアが開いた。
「あ……」
「昨日は、ありがとう。これ、自分で焼いたの。よかったら食べてみて。味は自信ないけど」
彼の顔がうっすら紅味を帯びたのを見て、私は妙な昂奮を覚えた。
「あの、わざわざ、すみません……」
言葉に詰まった様子が、
(可愛い……)
 それまで3人の男と付き合いがあったがみんな年上、しかも妻子持ちの不倫だったから新鮮なときめきを感じたのかもしれない。それにタイミングもあったか。この時、3人目の男と別れて2か月あまり、時に夜など秘唇が疼いて自慰に耽ることが多くなっていた。

「汚ないですけど……」
もしよかったらとドアを心持ち押し開いたのは訪問者への儀礼のつもりだったのだろうが、この場合は当てはまらないだろう。昨日見知ったばかりの女性である。男の部屋に招くのは逆に非礼といえるかもしれない。が、私は素直に応じた。
「じゃあ、ちょっとだけお邪魔するわ」
一瞬、彼の目が見開いたのは意外だったからにちがいない。

 えんじ色のジャージの上下姿。気楽な部屋着なのだろう。さらに幼く見えた。
 通っている学校のこと、年齢、故郷はどこかなど、ほぼ私が一方的に質問をして、その間彼はずっと正座をしていた。
「お行儀がいいのね。いつもそうなの?」
「いえ、何だか緊張して……」
「君のお部屋よ」
私は可笑しくて笑った。
「あたしの部屋、見えるの?」
窓に寄って見上げてみた。
「見えません。ベランダに出た時はお姉さんが見えます。覗いたりしてません」
「ふふ、わかってるわ」
見上げる位置になるので内部は見えない。でも、洗濯物はよく見えるだろう。

 6畳と奥に3畳ほどの小部屋がある。布団が敷きっぱなしになっている。あとは小さなキッチン。トイレは、なさそうだ。共同なのか。いまどき珍しい。
「きれいにしてるわね」
「いえ……」
男子学生の部屋とは思えないほどきちんと整理整頓されていた。
「お風呂はないの?」
「はい。でも、シャワー室があるんです」
後付けに設置したコインシャワーがあるという。
「100円で10分。工事現場にある簡易トイレみたいなやつです」
古いアパートに不似合いな設備だが、そのくらいしないといくら家賃が安くても入居者の確保は難しいだろう。

 溜息が聴こえ、振り向くと彼が前屈みになっていた。
「どうしたの?」
返事はない。俯いて、何かを堪えているように顔が歪んでいた。
「どこか、痛いの?」

 異変に気付いたのは間もなくのことだ。
(え?)
両手を股間に当てている。
(これって……)
勃起してる。……ゆったりしたジャージが膨らんでいた。
 私が目を見張ったのはその盛り上がりである。太ももまで伸びた膨らみ……。
(並みの大きさではない)
両手で隠しきれないのだ。
 襲われる……そんな恐怖は感じなかった。むしろ気持ちの一部に余裕さえあった。それは、見た目の小柄な少年のイメージが圧迫を感じさせなかったからでもあり、必死に悟られまいと縮こまる姿に母性がくすぐられた、からかもしれない。しかし、心の奥底に蠢いた想いを白状すれば、欲情していたことも事実である。
(見たい……)
理性を抑え難い魅惑の膨らみだった。
 衝動は止まらなかった。
「若いのね……」
彼に寄り添った私は彼の手に重なった。

 その後、私は『お姉さん』となってやさしい言葉を繰り返しながらジャージを脱がせ、ペニスの大きさに息を呑みながらも、
「青春真っただ中。健康な証拠よ」
昂奮を押し込めつつ扱き立てた。

 マンションに帰った私はお風呂にも入らず、ベッドに横になってオナニーに没入した。彼のペニスが頭の中を回転するように巡っていた。
(何という逞しさだろう……)
二握りしてもまだ余り、さらに亀頭が雄々しく、エラがどこかに突進するように真っ赤に張っていた。幹は硬くてトウモロコシみたいだった。……
(どうして?……)
あの小さい体に、何で……。
 呻いた彼……。噴出の寸前、兆候を窺ってハンカチで被ったが、間に合わず、跳ねるペニスはハンカチから洩れるほどの精液を噴き出した。夥しい量だった。
 手に残る漲る感触……。
 様々な想いが駆け巡る中、激しく指を動かし、私は呻きながらのけ反って痙攣した。
(明日……)
帰り際、平静を装いながらまだ息遣いの整わない彼に言った。
「明日の夜、来て。7時には帰ってる」
顔を見ずにそれだけ言ってドアを閉めた。


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