恋-1
念願の部を超えた合同プロジェクトに参加するのは初めてで
いろいろ勉強になることばかりだった。
各部がどんな仕事をしているのか
大まかなことは知っているけど、その細かさと深さに驚いて
それを集結させた合同プロジェクトは、
1つの部だけだと不可能なことも、ここまで相互して完成できるのか。
と思うほどだった。
入社4年目の私は、総合商社の強みと言うモノを初めて目の当たりにした。
そんな仕事内容の中で吉野さんはサブとはいえ実質的なリーダーで
プロジェクトを動かしているのは吉野さんだった。
あの夜から―――
吉野さんは忙しいらしく
全く私に連絡してこないけど。
ほんのたまに、仕事中に目が合うと、あの例の笑い方をした。
私はあわてて視線をそらす。
そんな私を見て吉野さんは小さく声を漏らして笑った。
「どうかしました?」
丁度、吉野さんに途中経過を説明していた人が、その笑いに疑問を持って聞いたけど
「イヤ。ごめん。思い出し笑い」
なんてごまかす。
それを聞いた私の隣の女性の先輩が
「吉野さん思い出し笑いだって。可愛い」
なんて私に話しかけてくるから。
なんて答えたらいいのか分からなくなる。