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「数学のお勉強」
【SM 官能小説】

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第六章-1

      第六章

 八月四日、北原泉美から電話があった。
「今月八日の朝から十日の夜まで、両親が香港へ行って家には私一人になるのよ。そこでその間、お前をうちに泊めて、昼夜問わず三日間ぶっ通しでハードな数学のお勉強をしたいんだけど、来れる?」
「はい、もちろん行きます」
 私は声を上ずらせて答えた。
 八日、朝九時、私は三林の泉美の家を訪ねた。この日の指定の服装は、ノーブラ・ノーパンに、白のノースリーブのワンピース一枚だった。純白の地に、前に襟元からスカートの裾まで黒い大きなボタンが縦に並んだ前開きのワンピースで、腰の所には黒いベルトも付いていた。丈は膝下丈だった。また履物はサンダルが指定されていた。
 泉美の家は十七階建ての高級マンションの四階だった。すでに両親は出かけた後らしく、ベルを押すと泉美がドアを開けてくれた。
「おはようございます。泉美様」
 私はそのままサンダルを脱いで上に上がろうとした。が、そこで泉美に制止された。
「ちょっと待ちな。まだ上がっていいとは言っていないだろ。玄関での儀式がまだ終わっていない。数学のお勉強は礼に始まって礼に終わる。友達の家に遊びに来たのとはわけが違うんだぞ」
「申し訳ありません」
 私は裸足のまま玄関に立って次の命令を待った。
「わかったら、まずそのワンピースを脱げ。ワンピースの下は確かノーブラ・ノーパンだったな」
「はい」
 私は命じられるがままにワンピースを脱いで全裸になった。すると泉美はそのワンピースを奪った。
「明後日の夕方までお前には服は必要ないから、これは私が預かっておく。次はその玄関のコンクリートの上に正座するんだ」
 これも命令どおりにしたが、コンクリートの上の正座は足が痛かった。
「そこに両手をついて頭を下げ、昨日メールで送った挨拶文を述べよ」
 挨拶文はすでに泉美からメールで送られ、暗記して来るようにと指示されていた。私は両手をついて頭を下げた。すると泉美が私の後頭部を足で踏みつけた。額がコツンとコンクリートの床に当たった。
「痛い!」
「頭を下げろと言われたら、ここまで頭を下げろ。それが奴隷のお辞儀の仕方だ」
「わかりました」
 そして私は暗記していた挨拶文を述べた。
「泉美様、今日から三日間、泉美様の奴隷として、家畜として、絶対服従し、痛いこと、熱いこと、汚いこと、恥ずかしいこと、惨めなこと、どんな苦行にも耐えますので、どうかこの変態あやかを調教してくださますようお願い申し上げます」
「よし、いいだろう。玄関での儀式は終わりだ。上がっていい」
 泉美は私の頭から足を除け、応接間へと案内してくれた。泉美はソファーに座ったが、私はソファーを使うことは許されず、フローリングの床にまたしても正座させられた。
泉美のソファーの脇には「数学のお勉強用具」と書かれたダンボール箱が置かれていて、彼女はそこへ私のワンピースをポイと放り込むと同時に、二メートルくらいの鎖の付いた太い黒革の首輪を取り出した。
「奴隷の証しとしてこれをお前の首に巻く。これは南京錠で鍵がかかるようになっていて、鍵はタイムロック式の金庫に入れてあって、十日の十七時までは暗証番号を押しても開けられない。つまりお前は一旦この首輪をつけられると、明後日の夕方五時までは絶対に外せないということだ。いいな?」
「お風呂に入る時も、寝る時も、首輪をつけたままということですか」
「バカ者。誰がお前をお風呂に入れてやると言った。奴隷のくせに人間並みにお風呂を使えるとは考えるな。汗をかいたら、ベランダで、ホースで水をかけて、汚い刷毛でお前の体をごしごし洗ってやるよ」
「ひっ!」
 私は顔が引きつった。
「寝るのも、まさかベッドで寝れるなんて考えてないだろうな。私は昼夜問わず数学のお勉強と言ったはずだ。お前もその覚悟で来たんじゃないのか」
「じゃ、夜は私はどうされるんですか」
「それは夜になってからのお楽しみ。もうメニューはちゃんと考えてあるから。さあ、首輪を巻くよ」
 泉美は立って私の所に来ると、私の首にその首輪をつけ、ガチャンと南京錠をかけた。そして最前のダンボール箱から、今度は太い鞭を取り出した。


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