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ヒューマン・ロール・プレイ
【調教 官能小説】

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〜 家庭科その2 〜-5

 掃除の度に『掃除機』を取りつけられる……そんな悍(おぞ)ましい想像に憑りつかれていたら、

『大丈夫です。 本式の掃除機は機械をつけるだけですごく時間がかかるから、滅多に使わないです。 というわけで、基本はこっち』

 と、【B22番】先輩が次の掃除機を説明してくれました。 全自動小型掃除機――愛称が『ルンバ』、自律式で方向を変え、落ちている埃を吸い込む家電でした。

 先輩の説明によれば、私たちは『ルンバ』の動きをトレースし、床掃除をします。 機械が試行錯誤の末に生み出した『隙が無い掃除』方法の方が、優秀でない私たちが考えて掃除するよりも効率がいいに決まってるそうです。 だから、私たちは『如何に綺麗にするか』を考えるんじゃなくて、『如何に自分をルンバに近づけるか』を考えることで、結果として綺麗な掃除に辿り着かなくてはいけません。

 最初に地面に仰向けになって、胸やお腹や股間を床に密着させます。 それから手足を縮めて『亀』のような体勢をつくります。 続いて身体の各関節にテーピングし、肘や膝が動かないように固定して、目隠しをすれば基本姿勢の出来上がり。 固定された身体を一生懸命よじることで、匍匐前進のように前進します。 そうして頭や肩が何かにぶつかれば、少しだけ身体をヨジヨジしながら後退し、身体の向きをモゾモゾ変えて、再度モソモソ前進します。 この繰り返しでもって『ルンバ』より綺麗に埃を吸い取れるまで、何度も練習するそうです。 目隠しをするのは『視覚に頼らないため』ですね。 変に障害物や埃を視認してしまえば、動きに邪念が生じます。 目標はあくまで『ルンバ』ですから見て考える必要はないわけで、掃除が終わるまで目隠しを取っては貰えません。

 肝心の埃を吸引するシステムですが、基本は『自分の身体』です。 もっというと、鼻と口ですね。 埃レベルは鼻でもって十分吸い込めますし、少しくらい大きくても口で吸い込めば大概は何とかなります。 床に落ちたご飯粒なんかは身体の中で完結できるのが、このシステムの長所ですね。 もちろん大部分のゴミ――糸くずや小さな破片――は消化できないため、後日、汚物として排泄することになります。 尖ったゴミで食道や胃が傷つく可能性は排除できませんが、旧世紀のヒトと現在の私たちでは体内粘膜の強度に雲泥の違いがあります。 刃物を直に丸呑みするような場合を除き、そうそう傷はつかないそうです。 

 私たちの身体で再現する小型自動掃除機は、単に吸い込むだけではありません。 こびりついた汚れは舌で舐めとったり、歯でこそぎ落としたり、唇で吸いついて溶かしたりできます。 身体が大きいせいで移動に制限がある点、移動速度が遅い点を克服できれば、ルンバより優秀な家電と認定してもらうことは十分可能です。 それになんでも吸い込むルンバと違い、唇や気管の感覚で、ゴミとそうでないものを知覚することが可能です。 小さな指輪やコインのように大切なものは吸い込まず、汚れと思しきものだけを掃除できます。 あと、肌を常時床に擦りつけることで、床そのものを磨くこともできますし。

 色々考えると、自分の身体を小型掃除機に設(しつら)える方が、掃除機と一体化するより効率がよさそうな気がしてきました。 だからきっと、小型掃除機として振舞う場面の方が多いんだろうな、って思います。


 ……。


 6つ目に登場した『扇風機』。 見慣れた夏の御伴です。

 学園には『エアコン』が完備されていて、『扇風機』を使う場面は有りません。 でも、例えば体育館のような場所でエアコンの冷気を部屋全体に送るために『扇風機』を併設したり、屋外に『扇風機』と霧発生装置を組み合わせて『ミストクーラー』にしたりと、出番はありそうです。 ならば普通の扇風機を使うかというと、そういう訳にはいかないでしょう。 私たちの身体でもって、より効率的な扇風機を再現することになる訳ですね。 扇風機はモーターに金属製のプロペラをつけ、電源用コンセントとスイッチがモーターから伸びただけという、いたってシンプルな装置でした。

 小型なプロペラの場合、扇風機役の牝はモーターを口で咥えます。 そうしておいてモーターから伸びたコンセントを舌で上手く移動させ、右の鼻の穴から外へ出します。 風量を調節するスイッチは、舌でもってしっかり口の中で押さえます。 学園入学以前なら絶対にできなかった動き――口と鼻の間を自在に物を移動させる――でも、まあ、それなりに出来るようになっちゃってますから、これくらいならどうにかなると思います。

 あとは現場の状況を判断して、舌でモーターの回転を調節し、首を左右にふって万遍なく風を送る。 これで扇風機という役割は果たせていますよね。 設置された場所や冷やす対象を考え、場面に応じて風を送ることも可能です。 プロペラが大きい場合も基本は同じなのですが、口で咥えて保持することが難しいため、肛門でモーターを保持し、風量を口で調節するそうです。

 先輩方は『楽勝だよ』とおっしゃいましたが、決して簡単な役割とはいえません。

 顔のすぐ前でプロペラが勢いよく回るため、モーターはしっかり咥えなくちゃダメでしょうし、傾いたりしてプロペラが額や顎に当たったとしたら大事です。 私たちが怪我をするかも、っていうのが問題なんじゃありませんよ? プロペラに傷がつこうものなら、叱られるのは私たちです。 あとは血が絶対飛び散りますから、回りに汚したらいけないものがあった場合、取り返しがつきませんよね。 特に大型のプロペラともなれば、よっぽどキツくお尻を締め続けないと、うっかり落してしまいそうです。 どれくらいの重さなのかは分かりませんが、気が抜けない家電だな、と思いました。 目の前で風を起こされるから息がし辛そうですが……それくらいは頑張ればなんとかなるでしょうか。


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