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艶盛り
【熟女/人妻 官能小説】

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第4話 震える愛に・・・・・・-1

その週の土曜日の夜。
丸いガラステーブルの上には、殻のワイングラスが二つと赤ワインのボトル、さらに手の付いた生ハムなどが盛られた大皿が並んでいた。
その奥の方の白いダブルベッドの上では、全裸にタオルケットを胸元まで被り、薄暗い照明に照らされて仰向けに寝る、二人の男女の姿があった。
そのうちの一人は峰子で、正志に腕枕をされながら、その胸元で甘えるように顔を埋めていた。

「ねえ・・・今日はゆっくりして行けるんでしょう?」

峰子は、正志の顔を見る事も無く、胸元に顔を埋めたままで訪ねた。
ここは、峰子の仮住まいのマンションの寝室で、二人は肌を交わした後の余韻に浸っていた。

「ええ・・・・・」

正志は天井を見上げたままで、覇気の無い返事を返した。

「あら・・・もしかして後悔してるの?」

「い・・いいえ・・・そう言うつもりじゃないんです」

余裕の笑みを見せる峰子とは対照的に、少し慌てた感じの態度を見せる正志。

「ただ・・・少し訪ねたい事があるんです」

正志は、峰子の顔に目を向けて話した。

「えっ・・・改まって何かしら?」

峰子も視線を返して、お互いが見つめ合う形になった。

「今さらですけど・・・どうして僕に近づいてきたんですか?」

「あら・・・年増は迷惑だったかしら?」

「いいえ・・・そう言うわけじゃないんです。ただ・・・僕に家庭があるとか思わなかったんですか?。だとすると、凄く面倒な事に巻き込まれるわけじゃないですか・・・・・・」

「ふふ・・・最初からそんな風には見えなかったわ。だって・・・凄く寂しそうな目をしてた。誰も愛せないような、寂しそうな目・・・・・・」

相変わらず峰子は、真剣な表情の正志をからかうかの様に、余裕の笑みを見せていた。

「本当ですか?。確かに、女房と別れてからは誰とも付き合ったりはしてません。抱いたのも、峰子さんが初めてです」

「何か光栄だわ。正志さんにとっての、ある意味で『初めての人』になれたんだから・・・・・・。ところで、奥様とは何が原因だったの?」

「恥ずかしながら、女房の浮気が原因なんです。僕も仕事の方が忙しくなって、中々構ってやれなくて・・・・・」

正志は再び天井を見上げると、物思いに深ける様な表情で話を続けた。

「しかも、浮気相手が出会い系サイトで知り合った若い男・・・・・・。家族の為に無我夢中で働いてるのに、結局女房はそんな僕よりも、若い男を選んだんです。しかも、火遊びならまだ知れず、お互いが本気だったんです」

「そうなの・・・そんな辛い事があったのね」

歯を食いしばる様に堪える正志に対して、胸元でなだめる様に頬ずりをする峰子。

「ええ・・・何度も浮気相手を殴っても、一歩も引かずに『女房と別れてくれ』の一点張りでした。そんな女房も浮気相手をかばい、僕の入る隙など微塵も無い事に気づかされました。本当に憤りを感じて、あれから3年ほど経ちましたが、未だに女性不信にも陥ってます」

「それじゃあ・・・私は女として見てないから、抱けるのかしら?」

峰子は、正志の胸元から顔を上げて見つめると、冗談交じりに問い詰めた。

「何を言ってるんですか・・・峰子さんは、僕にとっての癒し・・・・・・。とにかく、一緒に居ると落ち着くんです」

そう言いながら正志は、自分の首筋に峰子の顔を手繰り寄せると、そのままおでこに頬ずりをした。

「それって、答えになってないわよ」

「ええ・・・簡単には説明できないかもしれませんね。ただ、僕は年上の方とお付き合いするのは、身体の関係を含めて初めてなんです。何でしょう・・・今まで感じた事の無い包容力でしょうか・・・峰子さんと過ごす時間は、僕の心の傷を癒してくれるような、優しい空間になるんです」

「何か、上手く誤魔化されたわね。要するに、ただ甘えたいだけかしら?」

「それもあるのかもしれません。ですから・・・皮肉な話になりますけど、女房の浮気相手の気持ちが、今頃になって分かるような気がしてきたんです。何かに追い詰められてる雰囲気もありましたから、若い浮気相手は包容力のある年上の女房に甘えたかったのだと思います」

「あらあら・・・男ってみんなマザコンなのね。私は、正志さんのお母さんになるつもりは無いわよ」

「もちろん僕も、そんなつもりはありません。峰子さんは僕にとって、掛け替えの無い人・・・・・・このまま大事にしていきたいと思っています」

正志は真剣な表情になり、見つめながら峰子の手を握りしめた。
それに対して、複雑な表情を見せる峰子は、ただ黙っていた。

「そうだ・・・近いうちに温泉にでも行きませんか?。僕の知ってる所で、良い穴場があるんですよ・・・・・・ん?」

正志は、問いかける様に話を続けるが、それに答える事無く、いきなり口づけを交わす峰子。
一瞬目を見開いて驚きの様子を見せる正志だが、それに構う事無く峰子が舌を絡ませると、いつのまにかその雰囲気に呑まれて肌を交わしていた。
峰子は火遊びのつもりだったが、徐々にと真剣な態度を見せる正志に不安も覚えた。
それは、歳の差やお互いの環境でもなく、峰子自身の閉ざされた過去にも理由があった。


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