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わかちあい
【ロリ 官能小説】

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家出少女-1

冬の静岡は晴れていた。雪もなく、ぼんやり暖かい。小牧は北海道の灰色の空を嘘のように思った。
ゲートを出た所に、さっきの少女が立っているのを小牧は見つけた。一人のようだった。子供が一人で飛行機に乗るなど、危険なことに思われたが、まさか人が空中で迷うことはない。親は子供を乗せ、後は迎えさえきちんとしていれば心配ないのだと、小牧は一人合点した。そして横にあった喫茶店に入った。

久しぶりに友人同士で顔を合わせたとき、まず感じたのが、互いの「老い」であった。自分はまだ変わらないほうだと小牧は思いながら、大層変貌してしまった友人の姿には腹だたしささえ感じたものだった。会わない間も変わらぬ当時のイメージこそ、この十年間の現実だったからである。
然るに、おかしな言葉だが「本当の現実」はこうも変化してしまっている。それを認めるも認めないもあるまい。それでも、小牧は認めないことを選びたかった。

そんな事を思いつつ、二杯目のコーヒーを注文しようとして小牧が席を立って見ると、例の少女がまだ一人で立っていた。
気になった小牧は店を出て、少女に声をかけた。
「うちの人が来ないの?それとも迷ったの?」
少女は幾分灰色がかった褐色の髪を撫でて
「あたし、家出です。」
と、小牧から目をそらせながら呟いた。薄茶色の瞳だった。
面倒なことに関わる羽目になったと小牧は思ったけれども、何もしない訳には行かない。警察に行こうなどと言えば逃げ出すに違いない。
「よかったら、話だけでも聞こうか。そこの店に入る?」
「おじさん?お兄さん?のお家はどこですか。」
「うちへ来るの?まあ、近いからいいよ。」
これが高校生であったら小牧は承諾しなかっただろう。裏に何もなさそうな小学生だと分かって小牧は受けたのだった。
タクシーに乗った。見た目が温厚そうな小牧に少女は安心したのか、肩にもたれかかって寝息を立て始めた。見とれたほどの美しい子だったから、今のこの瞬間に小牧は満足していた。


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