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耳にキス、キス、キス。
【女性向け 官能小説】

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「あぁんっはぁんっはぁんっあぁんっあっあっあぁんっ気持ちいいのぉっヒロキくん、気持ちいいのぉっ」
「僕も気持ちいい……すごく締まってて……あぁ気持ちいい」
「あっあっあぁんっあっはぁんっんっ」

 身体の中を何かが駆け上がってくる。
 繋がった部分からじゅぽじゅぽと音がして、蜜壷がさらにヒロキくんを締めあげる。
 ヒロキくんがわたしの首筋に歯型をつけた。

「沙保さん──沙保、中に出すよ」
「あぁっあんっ出してっ中に、中にヒロキくんの精液──いっぱい出してぇっ」

 わたしがそう叫んだ瞬間、ヒロキくんが唸るような声をあげて一際大きく腰を振った。
 びゅるびゅると吐き出される精液を体内に感じながら、わたしもイクッと叫んで絶頂に達した。
 ビクンビクンと痙攣する男性器を咥え込んだまま、わたしは大きく息を吸い込んだ。


 それから、ふたりでキッチンに立ち昼食の用意をした。
 昼食は、お野菜やお肉など、好きな具材を入れたそうめんになった。

 実家じゃ、こんな“好き勝手”な料理ってできないから楽しいってヒロキくんが嬉しそうに言っていた。
 錦糸玉子が綺麗にできたことも、わたしの気分を良くした。

 ほんの数ヶ月にあった出来事が、今では遠い昔のことのようだった。
 雅也からはもちろんあの日以来何の連絡もなかった。ヒロキくんとわたしが住むこの部屋を知られることもきっとない。
 耳鳴りも最近は感じることが極端に減った。
 わたしの気持ちはとても穏やかだった。

「片付けたら、出かけようか」
「そうね、ちょうど新しい珈琲豆を買いたいと思っていたし」
「ねぇ、沙保」

 ヒロキくんがわたしを見つめる。
 泣きぼくろが可愛くて、そこばかりを見てしまう。
 大きな瞳に泣きぼくろ、なんて、反則だよな──なんて思いながら。

「なぁに?」
「ごめん、呼んだだけ」
「えっ」
「だって、さっきは勢いで呼び捨てしちゃったけど、やっぱまだなんか照れくさくってさあ……早く慣れたいなと思って」

 そう言って、ヒロキくんがまっすぐにわたしを見つめたまま、沙保、沙保と何度もわたしの名前を呼んだ。
 沙保、大好きだよ。沙保、愛してる。沙保、結婚しようね。沙保、沙保──。

 わたしは幸福感に思わずじわりと涙が浮かぶのを、きゅっと目を閉じて堪えた。
 幸せって、こういう気持ちのことを言うんだ──。


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