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〈熟肉の汁〉
【鬼畜 官能小説】

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〈人外の戯れ〉-4

もはや安息の場所は恭子には存在せず、女に生まれたからこその悲劇からも、逃げ出す術すら持たない。

気分が晴れる瞬間もなく、その憂鬱は昼夜を問わず恭子を責め続けている。

淡いピンク色のパジャマを着替えもせず、ダルくて重い身体を引き摺りながら、朝食と二人の弁当を準備したというのが本当のところだ。


(……ッ!!!)


耕二が出ていくと、見計らったように携帯電話は鳴った。
まるで平日のスケジュールに組み込まれているかのような正確さは、もう何時もの事だ。

昨日味わわされた、胎内から沸き上がってくるかのような恐ろしささえ覚える快感を、今日も与えられるのか…?

早くもじっとりと身体は汗を掻き、手足はプルプルと震える……恭子はゴクンと唾を飲み込むと、携帯電話を手に取って耳に当てた……。


{おはよう奥さん。昨日は凄え乱れっぷりだったなあ?へへへ……アパートに帰ってからも、いろいろと“大変”だったんじゃねえかあ?}


帰宅してからの屈辱的な自慰までも、まるで知っているかのような男の口振りに、恭子は戦慄を覚えた。
例え物理的に離れてはいても、もうこの男達の掌の上から逃れられない……刻まれた入れ墨だけが鎖のように絡み付いているのではないのだと、恐ろしくなって呼吸は乱れた……。


{ちゃんと歯は磨いたかあ?お前の口は臭いってクレーム来てっからよぉ?}

{磨いたんならとっとと出てこい。シャワーなんか浴びなくていいぜ?どうせオマ〇コとケツ穴は洗ったって臭えんだからさあ?}

{十秒だけ待ってやる。早くしねえとクラクション鳴らすぞ?}



乱暴な口振りは蔑みと威圧が同化しており、恭子を否応なしに急かす。

パジャマのまま階段を駆け降りて玄関のドアを開けると、もうそこには何時ものミニバンが停まっていた。


『早く玄関に鍵かけて乗れ。もたもたすんな』


気遣いも皆無な物言いだが、それに対して恭子は不服な様子は見せなかった。
言われるがままに鍵をかけ、開けられたスライドドアから車内へと乗り込んだ。


『悪いな、急かしちまって』

「………」


恭子が頭から布袋を被せられると、ミニバンは静かに発車した。
二階の“あの部屋”の窓から、天パ男が恨めしそうに見送る中で……。


ミニバンが駐車場から出ると、その車体は路面の凹凸に合わせてユサユサと揺れた。
それは昨日のマッサージの揺れに似ており、恭子は下腹部の違和感を覚えて身体を強張らせた。



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