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桜の降る時
【初恋 恋愛小説】

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聖夜の約束-2

 「どうして蓮ちゃんをもっと信じてあげないの?そんなに蓮ちゃんが信じられない?あたしが知ってる限りじゃ蓮ちゃんは霞を大事にしてるよ?さっきだって…、霞は見なかった?蓮ちゃん、すごく心配そうに霞を見てたよ?蓮ちゃんだって不安なんじゃないの?霞と距離を置いてること。でも、受験だからって、霞のためを思って、霞を信じて、会いたいのを我慢してるんじゃないの?」
 菜月の目には涙が溢れていた。
 「もっと蓮ちゃんを信じてあげてよ。いつまでも前世に縛られてるのは霞のほうだよ。霞は霞なの!さくらじゃないんだよ?いつまでも前世に縛られてたんじゃ、悲しいすれ違いをまた繰り返しちゃうよ。あたし、そんなのやだよ…。」
 まるで自分のことのように泣きじゃくる菜月。あたしのことをこんなに真剣に考えてくれるなんて…。
 「菜月。ごめん。それから…ありがと。あたし、なんか目が覚めた気がする。」
 受験のせいだろうか?ナーバスになりすぎてた気がする。1人で考え込んでいたのがいけなかったのか、勝手に悪いほうに考えてしまっていた。
 でも、菜月に聞いてもらって、すっきりした。心の中のもやもやが薄くなっていった気がした。
 「ほんとに?弱音ばっかり吐く霞となんて話したくないよ?」
 鼻をぐずぐずさせながら菜月はあたしをじっと見る。
 「うん。もう平気。今日帰ったら蓮にちゃんと話してみるね。菜月、ほんとにありがとう。」
 「よかったぁ。あたしね、ほんとに霞と蓮ちゃんには幸せになってほしいの。前世のさくらと蓮のぶんまで。もうすぐクリスマスじゃん?早めに誤解といて、幸せなクリスマスにしなさいよぉ?」
 菜月の言葉にあたしは凍り付いた…。
 「そうだ、もうすぐ…。クリスマス…。」
 「そうだよ?まさか忘れてた?」
 菜月の言葉にうなずく。すっかり忘れてた。どうしよう?蓮へのプレゼント…。
 「霞、ほんとにいっぱいいっぱいだったのね…。大丈夫だよ!今日はまだ20日だし、あと4日ある!」
「あと4日しかじゃないの〜!どうしよう、菜月ぃ。」
 あたしたちはクリスマスの計画を必死に考え始めた。
 家に帰り、あたしは蓮に電話をした。あたしから蓮に電話するなんてすごく久しぶりだった。
 「もしもし、蓮?」
 久しぶりなせいかすごくどきどきした。なんて言って蓮に誤ろう?今まで距離を置いてたのは、あたしが勝手に悪い方に考えていただけで…。蓮のこと、勝手に誤解してただけで…。
 「あれ?霞から電話なんて久しぶりだね?どうした?何かあった?」
 優しい、優しい蓮の声が携帯の向こうから聞こえる。あたし、どうしてこんなに優しい蓮を信じられなかったんだろう?
 涙が溢れてきた。
 「れ…ん…。ご、ごめ…んな…さい。」
 それだけ言うのがやっとだった。
 「え?霞?泣いてるの?どうしたんだよ。何かあったのか?」
 「蓮、聞いてくれる?あ、あたしね…、蓮のこと…勝手に信じられなくなって、距離置きたいとか言っちゃって…。」
 泣きながら、でも一生懸命、蓮に今までの思いを伝えた。
 蓮は、あたしの話を黙って聞いてくれた。
 「霞…。ありがとう。思ってたこと、ちゃんと話してくれて。実はね、霞が距離を置きたいって言ったときから、何かあるのかなって、なんとなく気付いてたんだ。でも、霞から言ってきてくれるまで待とうと思って何も言わなかったんだ。」
 「なんかね、受験のせいかナーバスになってたみたいで…。そしたら考えてたこと、全部マイナスになっていっちゃったの。蓮はあたしじゃなくてさくらのこと好きなのかなって思っちゃって…。で、不安になって蓮に電話したら、さくらのこと考えてた、なんて言うから…。あたしはさくらの代わりなんかじゃない!さくらの生まれ変わりとしてのあたしを必要としてるなら、…別れようって考えてたの。」
 蓮は黙ってあたしの話を聞いてくれた。


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