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会社の備品
【OL/お姉さん 官能小説】

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入社-2

■視点 岡田香澄

 昔はオフィスビルの一フロアを借りていたらしいけど、ゲームが売れたお金で三階建てのビルを建て、現在はそのビルに会社がある。

 一階は受付と、来客との打ち合わせスペースと会議室。
 二階は社員の作業スペース。
 三階は社員が使う会議室と社長室がある。

 入社式は三階の会議室で行われた。全社員が収まるほどに広い会議室にたくさんの社員。その一番前に並んでいるのは、私を含めて四人の新人だ。同期は全員男性。どうやらこの会社に女性は、私一人しかいないようだ。

 緊張する中、挨拶を済ませると、社長や上役からの連絡事項があり、この場は解散となった。入社式というよりは、どうも朝礼だったみたい。

 初日ということもあり、今日のところは就業規則や会社の事業内容についての説明、もろもろの事務手続きで一日を終えた。

 会社は完全週休二日制で土日休み。更に毎月第一月曜日はレクリエーションの日で、会社には出勤するが仕事はしない。社員全員で遊ぶそうだ。今年の五月はGWと重なっているからないそうだけど。

 残業は基本なし。月で十時間を超えそうになると振られる作業に調整が入り、納期が変わるか他の人に振られるとのこと。

 服装は自由だそうで、どうりで朝礼の時、スーツだったのは私たち新人だけだったわけだ。明日からは、新人も私服でいいらしく、男性陣は着ていく服に困っていた。

 ここまで至れり尽くせりなのには、ちゃんと理由があって、なんでもこの会社はストレスフリーを目指しているらしい。アイデア勝負の世界だから、ストレスのない環境を目指しているとのことだった。

 何にせよ、いい会社に就職できたと思う。これなら家事だって、これまでと変わりなく出来そうだ。


「え、岡田さんて高卒なの?」
 みんな電車通勤で帰りの方向が同じということもあり、同期四人で一緒に帰っていた。その道すがら、お互いの話をしていたら、そんな風に驚かれた。

「はい、そうなんです。」
「もったいない。もっと遊びたいとかなかったの?」

 まぁ、そう思うよね。私の友達もみんなそう言ってたし。

「遊びたくないわけじゃないですけど、家にそんなお金なかったですし。」
「あ、そうなんだ。ごめん、なんか変なこと聞いて。」
「あ、大丈夫です。気にしないでください。」

 変な空気になりかけたので、三人の同期に向けて目一杯の笑顔を向ける。こういった話をすると気の毒そうにするけど、私は不幸に思ったことはない。むしろ、貧乏だったから強まる家族の絆だってあるんだから。

「でも高卒でよく内定もらえたよね。結構いい大学の人も多かったのに。」
「全くだよ。あんだけの人数の中、内定もらえてよかったよね、俺ら。」
「数少ない同期なわけだし、これから仲良くやって行こう。」

 そうだよね、たった四人の同期だもの。歳は離れているとは言え、仲良くしていきたいな。


 翌日からはビジネスマナーの研修だった。名刺交換や電話応対、社会人としての最低限のマナー等々をみっちり詰め込まれた。

 それが終わると、私は雑務をしながら、経理のお勉強が始まった。先生は現在一人で経理を担当している副社長の藤堂さん。

 とは言いつつも、基本はコピーを取ってくれだの、作成したドキュメントのページを書き直したりだの、そんな作業で一日を終えることが殆どだ。

 経理を一日でも早く覚えないといけないとか、そんなことはないみたい。だから、与えられる作業を日々淡々もこなしている。

 先輩方もいい人ばかりで、私が作業の報告に行くと、簡単な単純作業だったにも関わらず、ちゃんとお礼を言ってくれる。やって当たり前だみたいな空気がなくて、気持ちのいいオフィスだ。

 ただ、ときどき舐め回すような視線を感じる時がある。自意識過剰なのか、知らず知らずのうちにストレスが溜まってるのかわからないが、何にせよ気のせいだと思う。

 だって、こんなに気持ちのいいオフィスで、そんなことをする同僚なんていないに決まってる。うん!


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