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呪縛の檻
【その他 官能小説】

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越えられない父の存在-1

 秀慈は参っていた。

発狂した母親の姿を見る日が来るなど思っていなかったからだ。一馬が絵茉を凌辱しているのを見てしまった日から、彼の砂の城は見るも無残に崩れ落ちた。

夕方出会った東条という男からも、秀慈は一馬の良くない噂を聞かされたのだった。しかし今は絵茉には何も言えない。罵倒されながら首を絞められ、殺されかけた彼女に言える話題ではなかった。

 一馬はまだ病院で春花に付き添っていた。家には絵茉と二人きり。

もともと体調が悪かった絵茉もいよいよ身体に限界が来て、死んだようにベッドで眠りに落ちていた。秀慈はそんな絵茉の傍らに、膝を抱えて座り込んでいた。

すべては父さんのせいだ。僕は絶対許さない!
絵茉と母さんの人生を狂わせた父さんを許さない!
秀慈は父親の正体を世間に暴いてやると心に決めて絵茉が目覚めるまでずっと傍にいた。


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