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真田拾誘翅(さなだじゅうゆうし)
【歴史物 官能小説】

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-1

 真田十勇士の中で三好清海入道・伊三入道の兄弟ほど放埒な男たちはいなかった。青海入道は酒好きの大力無双。伊三入道は女好きの蛮勇野郎。主君幸村が抱いている流刑の憂さを代弁するがごとく、しょっちゅう酒を飲んでは騒ぎ、隣村の女をかどわかしては交接に及んでいた。そして、彼らの従姉妹、稀代・伊代姉妹も血筋というのか女だてらにすこぶる奔放だった。

「稀代姉(ねえ)。今夜も行くか? 杣道(そまみち)通って高野山へ」

伊代が聞くと、稀代は当然とばかりに薄い股引(ももひき)を穿いた。笹藪を通る時に脚に擦り傷が付くのを防ぐためである。彼女らは九度山から南へ足を伸ばし、夜の高野山を目指すのだ。目的は女に飢えている若い僧侶だった。
 女人禁制の高野山。僧には触女人戒(異性と接触することの禁止)、不淫戒(性行為の禁止)、さらには故出精戒(自慰行為の禁止)というものまであり、若い坊主は精が溜まりに溜まっていた。
 夜の杣道は鼻をつままれても分からぬような闇に包まれていたが、稀代と伊代は通い慣れたる道とて昼間のように駆け、藪の中も素早く進んだ。

「稀代姉、いたぞ、今宵の獲物が」

伊代が低い声で言った。とある山寺のはずれ、鬱蒼とした森に続く窪地。そこに人影が一つあった。溜まった精を放つため、人目を忍んで手淫にふけようと出てきた若い僧だった。

「おい……」いきなり稀代が僧の前に現れた。「おい、坊さん。せっかくの精を宙に放つなんざもったいない。あたいが相手になってやるから、そこの草むらへ行こうぜ」

突然のことで僧は身構えたが、闇を透かしてよく見ると、ごく若い娘のようだった。しかし、声は野太く口調が荒かった。

「なにぼんやりしてんだよ。ほら」

稀代は僧の手をつかみ、自分の胸に押し当てた。十一歳にしては豊かな胸だった。僧の喉仏が大きく動き生唾を飲み込む音が聞こえた。
 あとはもう稀代の独壇場だった。僧を草むらに引きずり込み、男の一番搾りをまずは口でもって出してやる。それでも萎えない男根を手触りで確認すると股引を脱ぐのももどかしく、さっそく交合。猛り立つ若魔羅を膣で頬張ると、思わず女としての声が漏れた。

「あっ………………」

普段は太い声質の稀代だったが、まぐわう(交接する)時には甲高い声になった。

「めっぽう活きのいい珍宝だよう」

九度山の娘の中で最も肉(しし)置き豊かな稀代が、若い僧の上で身体をくねらす。常日頃、膣を締め付ける修養を積んでいるだけに締まりがいい。僧は出すのをしばらく我慢していたが稀代のせわしない尻の上げ下げで、あえなく二度目の吐精。
 男の身体から降りて秘所に和紙を差し込んで精液の処理をする稀代に代わって妹の伊代が僧に覆いかぶさる。二度、精を放ってさすがに張りを失いつつある男根を咥(くわ)えると、性戯の師匠である千夜仕込みの舌の舞、それで魔羅に芯を通してやる。禁欲を強いられる若い身体だけに、僧の肉棒はみるみるうちに元気を回復し、伊代は男に挑みかかる。

「やっぱりいいねえ、若い衆の珍宝は」

十歳の少女の言葉とは思えなかった。腰使いもこなれており、まるで熟れた女の動きだった。しかし、のしかかられた僧が触れる肌には若さを知らしめる張りがあり、きっちり締め付ける開(ぼぼ)には瑞々しさが溢れていた。
 結局、僧は三度目の精を搾り取られ、向こう十日ほどは夢精をせずに済むこととなった。
 いっぽう、稀代・伊代の姉妹は、わざわざ高野山の麓まで出張ってきたので、一人の僧で満足するわけもなく、窪地を抜けて宿坊近くまで足を伸ばし、新たな獲物、別の若い僧を見つけて躍りかかり、溜まった精を噴出させてやった。
 ことほどさように稀代と伊代は若い坊主らを相手の「実戦」が豊富だったので、九度山の傀儡女見習いの中では性の練度が上がっていた。「実戦」の他に女陰を引き絞る鍛錬を他人に倍して行っていたので、やがて、彼女らは万力開(まんりきぼぼ)の持ち主と呼ばれるようになるのだった。

 いっぽう、久乃は若者を相手にすることは滅多になく、近在の親父や隣村の年配の男が主な夜の修行の相方だった。そんな久乃の性向を見ぬいた昌幸は、たびたび彼女を寝所に招き、自らまぐわいの奥深さを教えていた。
 久乃自身も、処女を捧げた相手である昌幸と同衾する夜が心やすく、感じやすかった。

「ああ…………、おおとの…………、おお…と……の………」

老身ゆえに激しい攻めは見せぬものの、熟練の性戯で若い女体をいじる昌幸の技量は見事だった。入念な前戯で久乃の性感を高め、挿入しては新鮮な女陰を熟読玩味するがごとくまったりとした抽送。

「おおとの……。私……、もう……、もう…………。あああっ!!!!」

久乃は交情巧者によって感極まる。昌幸は接して漏らさぬ交合を重ね、十二歳の少女は性の醍醐味である頂点に何度も登る。そして、ようやく昌幸が自分に射精を許すと、子宮口にその熱さを感じた久乃は今宵最も激しい絶頂に見舞われた。

 臥所の嬌声が止み、トロリ……と溶けている久乃。添い寝しながら昌幸が穏やかに語りかける。が、口調とは裏腹に語る内容は少し物騒なものだった。


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