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セクハラ研修会
【OL/お姉さん 官能小説】

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第三話-4

「て、点数評価……?」

藤堂は、女のその言葉へ敏感な反応を示す。
自己の価値を認識するものとして、彼女はこれまでの人生で
過剰なほど点数での評価に依存してきたのだ。
というより、それ以外の価値基準を知らないという方が正確であろうか。

「90点……くっ、ちょっと、顔が近いってば!」

如月も同様に、90点というハードルが設置される事で
自身の高いプライドを刺激されていた。
点数で表すならば、この場の誰よりも、自分は容姿において高得点の存在であるはず。
根拠の無い自信が彼女を突き動かす。

しかし、今隣にいるのは、整髪料と、加齢から来る脂っこさで
薄い頭も顔もテカらせた、生理的に嫌悪するタイプの中年男。

容姿端麗な男以外は、接近する事も許さないという態度で
これまで生きてきた如月。このような醜い男と
お互いの吐息が感じられそうな距離まで接近しているというのは
耐え難い事であった。その上で、性的に満足させろというのか。

「むふふ。じゃあ朝の挨拶ごっこ、始めよっか、如月玲奈クン?
……今日も元気よさそうだねぇ、特にこの引き締まったプリプリのヒップとかが。
朝一番から長い足で歩きながら、このお尻を左右に振ってる如月クン見てたら
年甲斐もなく張り切れちゃうよ、オジサン。」

「はぁっ!?ちょ、調子に乗るんじゃないわよ、このハゲオヤジ!
大体、何で私につく男がアンタだけなわけ!?」

男の方がいかにもセクハラオヤジといった言い様で
如月の肢体に対する興奮と劣情を擦り付けるように言葉にする。
例えようもない気持ち悪さに、全身に鳥肌がたつのを感じつつ
彼女はつい反射的に罵倒の言葉を返してしまった。

また、嫌悪感以外にも、容姿が最も優れている筈の自分のところへ
たった一人しか男が寄ってこないという事に対して
自尊心を傷つけられた、半ば八つ当たりも込められている。

「は、ハゲ……!くっ、キミにはまだまだ教育が必要な様だねっ!
10点、いや、5点だよ、今のところの評価は!
全く、最近の若い女ってヤツはどうしてこう礼節がなっておらんのかねっ…!」

「ご、5点ですって!?こ、この私に一桁の評価なんて
老眼で目が腐ってきてるんじゃないのっ!?」

ハゲという、この男にとっては最も屈辱的な単語を返され
途端に不機嫌そうな顔になり、如月を罵倒する男。
彼女の方も、今までの人生で初めての低評価に、ムキになって声を荒げる。

「……あの調子だと。あっちは相当時間がかかりそうだね。
キミはどうかな?藤堂薫クン、だっけ?お勉強はできるみたいだけど。
こういうマナーも、社会人になったらちゃんと覚えていかないとね。」

「社会人としての節度と礼儀なら、学習して弁えてきたつもりですっ。
あ、貴方こそ、社会人として、少し、恥というものを知った方がいいのではないですかっ?」

一方、藤堂にも別の男がピッタリと寄り添い、吐息混じりに彼女へ囁いていた。
彼女もまた、この状況に動転し、相手の言葉へ反骨心を見せている。
如月と異なり、言葉遣いはあくまで最低限の敬語を用いているが。

一般的な社会通念でいえば、間違いなく自分が正論であるはず。
確固たる信念と意志、そして矜持があるからこそ藤堂は
相手の言葉を受け入れる事ができずにいた。

「所変われば、常識も変わる。これが社会というものだよ、藤堂クン。
画一的な常識なんて、体よく作られた虚構なんだ。
これからたっぷり、社会人としての教育をオジサンが叩き込んであげる。
今のところ、キミも評価は5点ぐらいだよ?如月クンと同レベル。」

「そ、そんな……!」

藤堂にとっても初めて自身に下された、低い点数。それも、見下していた筈の
如月玲奈と同点だとは。衝撃にまた頭が真っ白になっていく。

「ほらほら、ののかちゃ〜ん。」
「こっち向いて可愛いお顔見せてよ〜。」
「あと、そのデッカイボインちゃんも、もっとアピールしてっ。」

大河内には、相変わらず大勢の男が、口々に彼女へ
好き勝手な要求を並べ立てている。
その的になっている彼女は混乱とショックで泣き出しそうな表情のまま。
何一つ、望み通りのリアクションは返せずにいた。

「じゃあほら、ののかちゃん、順を追って、朝の挨拶からいってみよっ。」
「おはようございます、ののかちゃん。元気ですか〜?」

「お、おはようございます。げ、元気です……。」

「オッパイも元気?」

「えっ……それはっ……。」

通常の挨拶要求には何とか素直に応じてみせる大河内だが
その後に続く、卑猥な言葉での要求には
途端に口ごもって、また泣き出しそうな表情になってしまう。

「それじゃあ、ダメだなぁ〜。」
「まぁ、普通の挨拶はできたから、半分の45点ってところかな?」

まだまだ彼女も、クリアまでには高い壁が立ち塞がっている様だった。


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