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『Twins&Lovers』
【学園物 官能小説】

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『Twins&Lovers』-178

「おばあちゃん、きもちいい」
「おばあちゃん、あったかい」
「………」
つ、と涙が頬を伝った。今胸にある温もりもまた、郷吉がくれたもの。彼はたくさん、弥生にとってかけがえのない幸せをくれたと十年経った今でも思う。
「ただいまー」
玄関先で、女性の声がした。弥生が曾孫に捕まって動けない状態なので、ひとみが代りに出る。……もう、誰がきたかわかっているのだが。
「ふたみ、おかえり」
「あ、ひとみちゃんも、おかえり」
それは、ふたみだった。
彼女は数年前に、故あってこの家を離れている。しかし、そんなに言うほど遠くにはいないので、折を見ては弥生の様子を伺いに来たりもしていた。……本当は、ふたみも一緒に暮らすことを望んでいるのだが。
「まいどー」
後ろで、陽気な声が続いた。
「よう、兵太」
いつのまにか玄関に来ていた勇太郎がこれに反応した。なにしろ、随分と懐かしい声だったからだ。
「やあ、兄やん」
「こっちに、帰ってたのか?」
「そりゃ、つれあいが身重とあれば」
「「え?」」
勇太郎とひとみの言葉が、綺麗にリンクした。さすがはおしどり夫婦。
「その報告もあって、今日は来ましたんや」
全員で連れだって、弥生と麻奈美奈のいるリビングに戻った。
すかさず、兵太が弥生の前に正座ですわり、頭を下げる。
「弥生はん、しばらくでした」
「おやおや、兵ちゃんかい? 元気そうだね、よかったよ」
2年前から、安堂家に連なる家族のひとりとなった兵太を、やはり勇太郎と変わらぬ親愛を込めた眼差しで見つめる弥生。
「おばあちゃん」
「やあ、ふたみ。ふたみも、元気みたいだね」
「あー」
「あー」
すぐに麻奈と美奈がふたみに反応して、嬉々とした声を挙げる。弥生と似た雰囲気をそれとわかるのか、二人はふたみのことも大好きなのだ。
「ふたみちゃん♪」
「ふたみちゃん♪」
今度はその身体に取り付いて、無垢な笑顔を向ける。ふたみは、そんな姪たちを優しく抱きしめると、ややあって、弥生に伝えた。
「おばあちゃん。わたし、もうすぐお母さんになります」
「!? ほんとかい!?」
「今年の末になると、思います」
「………」
さすがに弥生は唖然としていた。しかしすぐにいつもの柔和な顔つきを戻すと、新しい生命を宿した孫娘のそばにより、そっと頭を撫でた。
「そうかそうか……よかったねえ、ふたみ」
「うん」
「ありがとう、兵ちゃん……」
弥生は、孫娘に幸せをくれた兵太に深々と頭を下げていた。
「いえ、そんな……」
兵太はそんな弥生に恐縮しきりである。なにしろ、彼は仕事でよく日本を飛び回るから、仕事場となっている部屋の管理をほとんどふたみに任せっぱなしになっている。そんな状況にも関わらず、弥生やふたみはそれを責めたりしないから、兵太としては常に心苦しく思っているのだ。
「弥生はん、今日はセンセの墓前にも報告さしあげようと思いまして……」
「センセ? 郷ちゃんにかい?」
「はい」
「あ、それなら……」
リビングに戻ってきたひとみが兵太の言葉を聞きつけて、ふいに提案を始めた。勢ぞろいした家族全員が、その顔に視線を集める。


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