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トーキョーJane Doe
【女性向け 官能小説】

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WHO ARE YOU?-4

客先からの帰り道、スマホにLINEが入った。
「今日、仕事のあと打ち合わせしない?忙しいのはわかるけど、LINE送っても返事がないんですもん」
スタンプも怒っている。

もちろん受付の役目を忘れているわけではないし、LINEも読んでいた。
ただ、今はあの女のことばかり考えてしまうのだ。
夜にしか会えない、不思議な女。
会っている間は、裸でいることの方が多い名も知らない女のことを。

夕食を取りながら式当日の打ち合わせをした。
彼女は平凡な容姿だが、よく笑いよく話す子だ。俺の知っている女性とは、たいていがこんなものだ。
もう少し給料が多ければいいのに。来月の給料が出たらあれを買おう、ここに行こう。仕事に不満はあるけれど、今の時代転職は難しいからもう少し我慢しよう。そこそこの年で結婚もしたい。
そんな感じだろう。
「……なの?」
そう言われて、我に返った。
「え?なに?」
「ほんっと、人の話聞かないわよね。今の仕事、どれくらいで目処がつくの?」
「今月中には成立させないとヤバい感じ」
「あのさ。忙しいのはわかってるの。でも、もう少し時間取れないかな?私だって今のままじゃ不安になっちゃうよ」
「うん、ごめん。ただ、今本当に忙しくて……」
俺は嘘をついた。時間なら作ればあるんだ。仕事なんて口実に過ぎない。今は、あの女のことで頭がいっぱいなんだ。自分でも理解できない関係の女が。
「そしたら、こんどの土曜日に結婚式場を見に行かない?私はホテルで着替えようと思ってるから、下見したいのよ」
なんで受付をするだけで、会場の下見をしなきゃいけないんだ。そう思ったが、彼女の気持ちがわからないでもない。
他の女と寝ている後ろめたさもあって、俺は了承した。
「いいなぁ、結婚かぁ。私たちは、まだまだね?」
「うん。あ、いや……もう少し昇給したらとは思ってる」
「あのね、私いくつだと思ってる?後輩が結婚して辞めて行くのよ?お局にするつもり?」
「おまえさぁ」
「なに?」
「もしも、どこかでバッタリいい男に出会ったら。俺なんかよりいいのがいたら、その日のうちに寝たりするか?」
「はぁ?もしもし?意味がわからないですけど。浮気を推奨してるんですか?」
「そんなわけないじゃん。ただ、女ってどうなのかなぁって。俺、おまえを待たせちゃってるしさ」
「うーん。私的にはないけど、人によるんじゃない?会ったその日になんて恐くてできないよ。ねぇ、今晩あなたの部屋に行ってもいいでしょう?」
「掃除もしてなくて汚いよ」
彼女は他の客に聞こえないように小声で言った。
「じゃ、ホテル行こう?私だって、ずっと我慢してたんだから」
そう言って俺の手を握った。
この時になって、彼女に対する罪悪感が肩にのしかかった。


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