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喰われる人妻 菜穂
【若奥さん 官能小説】

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第12話-1

菜穂の返事を聞くと、天野はニンマリとした笑顔を見せた。


「いやぁ良かった、奥さんが話が分かる方で。」


「あ、あの……本当に夫には……」


「ええ、大丈夫ですよ。旦那さんには絶対に知られる事はありませんから、安心してください。」


智明には絶対に知られる事はない。

智明に知られる事さえなければ、今夜の事は自分1人で抱えて墓場まで持っていけば良いのだから。

そうすれば智明や家族を傷つけることはない。

とは言っても、菜穂はまだ迷いを捨てきれていなかった。

菜穂のような一途で真面目な女性にとって、一晩だけとはいえ今まで守ってきた貞操を捨てる事にはやはりかなりの抵抗があるのだ。


「ハハッ、奥さんそんな思い詰めた顔をしないでください。ほら、もう一杯飲みましょう、リラックスできますよ。」


そう言って天野はまたグラスに酒を注いで菜穂に渡してきた。

いっその事記憶が無くなるくらいに酔ってしまえば楽になるかもしれない。そんな想いで菜穂は勧められるがままにグラスに口を付けた。

もう結構な量のアルコールを摂取している菜穂。

さすがに身体が熱く、頭もボーっとしてきた。

横にいる天野に肩を抱かれているのは不快である事に変わりはなかったが、不思議とずっとこうされていると慣れてしまって、そんな感情も段々と薄れてくる。


「で、奥さんはどうなんですか?こっちの方は、好きなんですか?」


太ももを摩りながら聞いてきた天野。でも菜穂は一瞬それが何のことを聞かれているのか分からなかった。


「え?」


「セックスですよ、好きなんですか?」


セックスという言葉にドキッとする。こんな状況だからなのか、今はその言葉が、凄く生々しく感じる。

これから天野とセックスをしなければいけないという現実が一気に近づいてきたように思えて、緊張と共に鼓動が早くなる。


「そ、そんな事聞かれても……」


「ハハ、好きか嫌いかくらい答えるのは簡単でしょ?教えてくださいよ。」


「……私は……ふ、普通です。」


「じゃあ嫌いではないんですね?」


ニヤニヤとイヤらしい笑みを浮かべながら天野は、赤面している菜穂の表情を見つめた。


「では奥さん、最近セックスをしたのはいつですか?」


「ど、どうしてそんな事まで……」


「これも遊びの一つですよ。私はプロセスも楽しみたいタイプでね、分かるでしょう?ただヤルだけじゃ詰まらないですし、私は満足できない。さあ答えてください、正直にね。」


天野を満足させないと、本採用はない。

夫婦の性生活について話すのは嫌で仕方なかったが、答えない訳にはいかなかった。

でもその質問は、菜穂にとって答え辛いものだった。

何せ菜穂と智明は2年以上もセックスをしていないのだから。


「正直にですよ、奥さん。」


「正直に……ですか……?」


「そうです、教えてください。」


「……えっと……あの……年前……くらいです……」


「ん?聞こえないですよ。」


「あの……に、2年前くらい……」


別に嘘をついても良かったのかもしれない。嘘を言ったところでそれが嘘だとバレる訳がないのだから。

でもそこまで頭が回らなかった。

表情こそ笑っているものの、未だに天野の態度には独特の威圧感がある。その威圧感が菜穂に思考する余裕を無くさせていた。


「2年前!?随分とご無沙汰なんですねぇ、それじゃ完全にセックスレスじゃないですか。」


案の定の反応に、菜穂は俯くしかなかった。


「さっき宴会の席で言われた時は、やはり図星だったんですね?へへ……という事は、奥さんも大分溜まっているんじゃないですか?欲求不満が。でもだったら丁度良かったじゃないですか、今日はその不満を解消できるかもしれませんよ。」


「……」


菜穂は天野の話に対して黙って俯いたまま、小さく首を左右に振った。

確かに性生活には不満を持っていたかもしれない。でもそれは愛する智明が相手でないと解消できるはずがなく、愛の無いセックスで満たされるようなものではないのだ。

しかしそんな菜穂の様子を見て、また天野は笑ってみせた。


「ハハッ、奥さんは本当に旦那さんを愛しているんですねぇ、いや実に素晴らしい。でもねぇ奥さん、あなたも結婚しているとはいえ、1人の生身の女性である事には変わりない訳でしょう?偶には欲しくて堪らなくなる事もあるんじゃないですか?旦那さんじゃなくても、男の身体が。」


「そ、そんな事……ありません。」


「本当ですか?2年もの間一度も考えた事さえないんですか?」


「ぇ……それは……」


智明以外の男性とするセックスを一度も想像した事がないと言えば嘘になるかもしれない。

でもそれはあくまで想像だけで、実際にそういう事がしてみたいと思っていた訳ではない。

浮気心があった訳ではないのだ。

菜穂が答えあぐねていると、そんな菜穂の心を見透かしたように天野はこう続けた。


「どうやら考えた事くらいはあるみたいですね。」


またも図星を突かれて顔を赤くする菜穂。


「わ、私は別に……その……」


「ハハッ、分かりやすい人だ。良かったですよ奥さん、それなら一緒に楽しめそうだ。」


そう言うと天野は肩に回していた手をゆっくりと下ろしていき、菜穂の胸の膨らみを浴衣の上から触り始めた。


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