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喰われる人妻 菜穂
【若奥さん 官能小説】

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第11話-1

「私……ですか?」


「そうです。奥さんも大人だ、私が何を言いたいか分かるでしょう?私はね、あなたを一目見た時から、ずっとこうしたかったんです。」


天野はそう言って菜穂の太ももを触っていた手をさらに閉じていた内ももの方へ差し込んだ。


「えっ!?あ、天野さん、ちょ、ちょっと待ってください!」


顔を赤くしながら慌てふためく菜穂。

迷いながらここまで来てしまったけれど、まさか天野がここまで迫って来るとは思わなかった。やはり部屋にまで付いてきてしまったのは間違いだったと菜穂は後悔した。

天野の発情し野獣のようになった目を見れば何を求められているのかは分かった。

でも菜穂の我慢にも限度がある。

そして天野の手が菜穂のさらにデリケートな部分を触ろうとしてきた時、その限度は超えた。


「嫌!止めてください!」


菜穂は天野の手から逃れるようにしてソファから立ち上がった。

智明の妻である前に、菜穂は1人の女性だ。女性としてのプライドが、天野の行き過ぎたセクハラをこれ以上許さなかったのだ。

しかし菜穂は向き直って天野の驚いた顔を見た瞬間にとんでもない事をしてしまった≠ニ思った。

つい頭に血が登ってしまった。これで天野の機嫌を損ねたらもう、智明の採用の話はなくなってしまうかもしれない。

智明のやっと掴み掛けたチャンスが、水の泡に。

私のせいで……


「す、すみません!私……」


菜穂は咄嗟に天野に頭を下げて謝罪した。


「急にどうしたんですか奥さん、せっかく楽しくお酒を飲んでいたのに。」


「……あの、困ります私……こういう事は。」


菜穂が困惑しきった表情でそう言うと、天野はなぜか大きく笑い始めた。


「ハハハッ!驚かせてしまいましたか、いやこれは失礼。でもそんなに堅く考えなくてもいいのに。奥さん落ち着いて、とにかくここに座ってください。」


「……は、はい。」


菜穂がソファに座り直すと、天野は再び身体を近づけてきた。

一度拒絶したにも関わらず、それを全く気にもしていないような天野の態度は、威圧的だった。


「奥さん、もっと気軽に考えましょうよ。私としてはあなた方夫婦にとても良い条件を出しているつもりなんですがね。そうでしょう?」


「……」


そう言って天野はもう一度菜穂の肩に手を回した。


「悪いようにはしませんから。何にも痛い事はしないし、少し2人で大人の遊びを楽しむだけですよ。へへ、今夜だけです。そしたら、旦那さんはすぐにでもうちの正社員になれるんですよ。給料だって今とは全く違う額だ。」


「……」


どうしよう

私はどうしたらいいの?智明……


もしこの事を今智明に相談したら、智明は絶対に怒ってくれるだろうし、そんな事をする必要は全くないと言って私を守ってくれるに違いない。

例えそれで採用の話がなくなったとしても、智明は迷わずそうしてくれるはず。

でも、本当にそれでいいの?


菜穂は思い出していた。面接の後に智明が見せた涙を。

智明と知り合い、結婚してからもう何年も経つけれど、智明が泣くところを見るのはあの時が初めてだった。

いつも自分の前では優しい笑顔を見せてくれていた頼もしい夫。

そんな夫の心身ともに疲れて切った表情と、悔しそうに涙を流す姿。

きっと就職活動の間も、辛かったと思う。

社会から失業者として扱われ、男としてのプライドも傷ついたと思う。

もしこの採用の話がなくなったら……がっくりと肩を落とす智明の姿が思い浮かぶ。

菜穂はもう一度同じような苦労を智明にさせたくはなかった。


「奥さんの目を見れば分かります。本当は喉から手が出るほど旦那さんの採用が欲しいんでしょう?」


その通りだった。

天野の言葉は、誘惑に近かった。

菜穂の心の弱みを完全に突いている。

菜穂の夫に対する想いや優しさを、天野は見透かしているのだ。


「あっ……」


天野の手が、再び菜穂の内ももを触り始める。


「私を汚い人間だと思いますか?でもね奥さん、このぐらいのことは、社会じゃよくある事なんですよ。」


まるでドラマや漫画の中に出てくるセリフのようだった。


「奥さん、あなた次第です。奥さんが私の要望に応えれてくれれば小溝君は即採用だ。でもそれができないなら、この話は無かった事にさせてもらう、それだけです。」


この話は無かった事にさせてもらう

その言葉が、菜穂の胸に重く圧し掛かる。

私が今夜一晩だけ我慢すれば、智明は採用してもらえる。

智明がこれ以上再就職の事で苦労する事もなくなる。

私が我慢すれば……


「……ほ、本当に今夜だけですか?」




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