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喰われる人妻 菜穂
【若奥さん 官能小説】

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第5話-1

結局、社員旅行は菜穂も参加する事になった。

あの天野部長と近藤に来て欲しいと言われたのだから、立場上断れる訳がない。


「悪いな、また色々と付き合わせることになっちゃって。」


「ううん。私、智明の仕事の事で何か協力できることがあったら何でもしたいと思ってるし。その方が夫婦二人三脚って感じで良いじゃない?」


「二人三脚か、そうだな。でもあんまり無理させたくないんだよ。菜穂には普段家事とか子供の事とか全部やってもらっているんだから。」


「大丈夫よ。一泊旅行くらいなら子供達は実家に預ける事できるしね。それに社員旅行なんてOL時代以来だし、私出産してからはずっと家にいたから、良い気晴らしにもなるかも。」


菜穂そう言って申し訳なさそうにする智明に笑顔を向けていた。




そしてそれから1ヶ月後、社員旅行当日がやってきた。

近藤が幹事を務める今回の旅行の行き先はとある温泉旅館だった。

移動は3台のバスで。

しかしその日の朝、菜穂は集合場所である事に気付いた。

近藤は社員の家族は自由参加だと言っていたが、周りを見渡しても他の社員で家族を連れ来ているような人は誰もいなかったのだ。

自由参加であるから仕方のない事なのかもしれないが、なんとなく菜穂が想像していた雰囲気とは違っていた。もっと家族連れの人が多くて賑やかな感じの旅行なのかと思っていた。

それに、これも仕方のない事なのだろうが、菜穂以外の女性が殆どいない。

元々女性社員は少ないとは聞いていたが、本当に少ない。菜穂の目で確認できたのは若い女性社員が2人だけ。あとは全員男だ。

だからどうという事でもないのだが、やはりこの社員旅行は、菜穂にとってはあまり居心地の良いものではないようだった。

もちろん、そういう事は覚悟の上だった。

直樹の本採用のためなのだから、今回は旅行を楽しむつもりなんてない。

旅行と言うより接待だと思っていればいいのだと、菜穂は自分に言い聞かせていた。



「やぁ奥さん!来てくれたんですね、嬉しいですよ。」


「あ、天野部長、おはようございます!」


天野に声を掛けられた菜穂は、智明と共にすぐに頭を下げて挨拶をした。


「まぁそんな堅くならずに、旅行ですから、息抜きのつもりで楽しんでいってくださいよ。」


「あ、ありがとうございます。」


天野は実に機嫌良さそうにしていて、菜穂に終始笑顔を見せていた。


「おい近藤君、私と奥さんは同じバスなんだよな?」


「はい、そうです。」


「ハハッ、良かったよ。それなら道中も飽きることなく楽しめそうだ。」


旅行中、この部長の機嫌を損なわないようにするのが私の役目。しっかりやらなくちゃ。

菜穂は天野に笑顔を返しながら改めてそう決心した。



出発時間になり、社員が次々とバスに乗り込んでいく中で、そこでも菜穂は天野に声を掛けられた。


「奥さん、私の隣の席が空いているんだが、どうだね?」


「え?あ、はい!ぜひ。」


「ハハッ、悪いねぇ無理強いをさせてしまったみたいで。社員は皆、私の隣には座りたがらなくてねぇ。いつも寂しい思いをしていたんだよ。」


「いえ、そんな。」


そう言って菜穂がチラっと智明の顔を確認すると、智明は少し心配そうな表情でこちらを見ていた。

でもだからと言って智明が口出ししてくる事はない。

これを断って、天野部長の機嫌が悪くなってしまっては元も子もないのだから。

結局バスの中で菜穂は天野部長と共に前方の席へ、智明は一番後ろの席へと誘導され、座った。


移動中、天野は会社の話やゴルフの話、どうでもいいような自慢話などを隣にいる菜穂に話し続けていた。

そして菜穂は笑顔を作りながら、ずっとその話に付き合っていた。

「そうなんですかぁ!凄いですねぇ!」と返したりして、あまりわざとらしくならないように気を付けながら。

しかし出発してからしばらくすると、調子に乗り始めた天野は、またもセクハラまがいな事を菜穂に聞き始めた。


「ところで奥さんは今何か香水でも付けているのかな?」


「え、香水ですか?いえ、特には。」


「ほぉ、じゃあこれはシャンプーの匂いかな?さっきから奥さんの方から凄く良い匂いがするんで気になってね。」


そう言って、菜穂の髪の毛に鼻を近づけてクンクンと匂いを嗅ぐ天野。

恋人でもない男にこんな変態チックな事をされたら、誰だって不快に感じるはず。

だが、今の菜穂はこの程度の事には怒ってはいられないのだ。

匂いだけではなく、ついには「それにしても奥さんは綺麗な髪をしていますねぇ」と言いながら髪を直接手で触ってきた天野に対しても、菜穂は嫌がる素振りを全く見せなずに我慢していた。


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