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悪徳の性へ 
【学園物 官能小説】

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〜 自己紹介 〜-1

〜 自己紹介 〜



 わたくし――学園ではA4番、ずっと以前は藤崎郁美と呼ばれていた――が学園に入学し、寮にはいったのは4年前……つまり、今年で寮生活は5年目になります。 

 Cグループとしてスタートしたとき、わたくし達は正規のクラス定数、35名でした。 Cグループには毎年35名の新人がはいりますが、Bグループにできる空きは例年10〜20名です。 空きがない場合は学園を強制的に去るしかありません。 年度の終わりに、わたくし達の上の代であるBグループの留年生が15名と確定しました。 ですから、わたくし達の代でBグループに上がれるのは20人だけになりました。 年度の終わりまでに既に学園をあとにしていた子が、わたくし達の代に5人いましたから、さらに10名が選ばれて学園を去っていきました。 

 Aグループの定員はたったの5名です。 BグループからAグループは、決して広い門ではありません。 Bグループの子は、年度が終わるまでに『原級留置(つまり、もう1年Bグループをする)』か『進級(Aグループになる)』か『専進(専門進学の略。専門分野にスカウトされて学園をでる)』から1つを選ぶことになります。 まあ、選ぶといっても、自分が選べるわけがなくて、学園の成績や寮監の評価によって、自動的に振り分けられるのですけれど。
 基本的には全員が『進級』を望みますが、それはAグループに空きができればの話です。 Aグループ全員が原級留置してしまえばBグループの進級はゼロになるわけで、言い換えると、Aグループの誰かが学園を卒業しない限り、BグループからAグループへの進級はありません。 わたしはBグループで1度だけ原級留置して、2年目にAグループにあげていただきました。 5年以上Bグループに原級留置した先輩もいると聞きますし、3年でAグループというのは早い方だろうと思います。 わたくしはこのまま卒園できるものと、内心浮かれていたことを認めます。 
 けれどもAグループの生活は予想以上に厳しいものでした。 肉体的負担は格段に減りましたが、精神面の未熟さばかりが表にでて、卒園試験では普段の実力以上は出せず、浮かれたものの宿命としてわたしは原級留置になりました。 結局卒園できたのは旧寮長を含め3人で、わたしと、それに同い年のA5番の2人は、揃って仲良く寮に残ることとなりました。

 この4月から2度目のAグループ生活です。 去年同様のカリキュラムをもう1年継続すると考えるだけで、正直心が折れそうになります。 何もかも投げ出して、人生自体を終わりにするのも……場合によっては選択肢の1つでした。 実際のところ、自分の人生にピリオドをうった子たちを、学園の中で何人も見てきました。 そういう最期は自分と無縁だとは思いません。

 そんな風に考えていたわたくしにとって、寮監から仰せつかった『寮長』という役職は、一縷の望みを与えてくれました。 てっきりわたくしより一回りも二回りも嗜虐的で、ソツがないA5番が選ばれるとばかり思っていました。 わたくしにとって、自身が寮長に選ばれたことは、学園に入って一番びっくりして、一番嬉しい出来事です。 過去に寮長を勤めた生徒はみんな卒園試験に合格したという話を聞きますし、急に未来が明るくなったような気がしました。 何よりも、これで指示される側から指示する側に立てるのです。 4年間に寮で経験したことを、与えられる側から与える側に回るのです。 そうなれば個人の尊厳が許されない学園生活でも、上手くいえないけれど、全く別な世界に変えられるかもしれません。


 ……。




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