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悪徳の性へ 
【学園物 官能小説】

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〜 入寮 〜-2

「静聴!」

 裸の群れが僅かにざわつくも、B29番がすかさず辞儀をただす。 しわぶき一つ聞こえない。
 理不尽な先輩に当たった後輩は、一年耐えることで立派な先輩へ成長する。 新しくできた後輩を追い詰め、いびり、泣いても許さない立派な先輩にだ。 逆に軟弱な先輩に当たった後輩は、呆けた先輩になる確率が高いが、幸い史性寮には軟弱な先輩など見当たらない。 優秀な寮をつくるのは人であり、人をつくるのは伝統である。 自分好みな伝統を、寮全体が共有している。
 ――いや、一人だけ例外がいた。 厳しさが足らない唯一の先輩が、隣で副寮長をこなすB29番だ。 彼女に関しては色々と期待外れだが――今は新人に意識を向けよう。

「私は寮を監督する立場を超えて、誰よりも貴方たちを愛しています。 私からの指導は、すべて愛するがゆえと肝に銘じなさい。 学園には様々な『挨拶』がありますが、私は学がありませんから、感謝は単純なものほどよろしい。 最後の原則です。 私に指導を受けたなら、即大きな声で『ありがとうございます』と、心の底から感謝してくだい」

 ニッコリ。 微笑んでみたが、微笑みを返してくれる少女は、残念だが見当たらない。

「寮の返事は、簡潔と単純を貴びます。 装飾は不要ですよ。 では、いままでの説明がわかったものは、大きな声で返事をしてくださいね。 わかりましたか?」

「「ハイ!!」」

「よろしい。 では、残念なお知らせです」

 つい微笑んでしまう。 言葉と食い違う表情をつくってしまうのは、自分の悪い癖かもしれない。 

「どんな事情があるにせよ、1名がここに揃っていません。 これは重大な失点です。 こういう時、寮ではどうすればいいか、みなさんの先輩に教えてもらいましょう。 B29番さん。 どうしますか?」

 隣で背筋を伸ばす副寮長・B29番に水をむける。 何事も経験者からだ。 要領を得ないやり取りを延々繰り返すより、寮を熟知した人間に先陣をきらした方が、何かにつけてやりやすい。

「ハイ。 失点は償うしかありません。 後輩の過誤は先輩の過誤です。 どうか不甲斐ない後輩に替わって、わたしをお仕置きしてください。 お願いします」

「よくできました。 キチンとお仕置きを受けようとする姿勢が大切ですね。 どんなお仕置きが相応しいか判断するのは私なんですけど、まずは自分の責任を明確にするよう努めてください。 今回みなさんが犯した失態は、客観的に見てB29番さんの責任ではないと思いますけど、そんなことはどうでもいいんです。 B29番さんの潔い態度に免じてビンタを10発さしあげましょう」

「よろしく、お願いします」

 顔色一つ変えず、手を腰の後ろにあて、淡々と応じるB20番。 
 ビンタは最もイージーなお仕置きにして、自分の得意分野だ。 手首のスナップを変えたり、ヒットする場所をずらすだけで、人間の肌は多種多様な楽器に変わる。 時にスネアドラム、時にバスドラム、タンバリンや和太鼓になる。 

「歯を喰いしばりなさい」

 隙間からもえる呻きが加われば、楽器としての可能性は無限大だ。 
 B29番はおそらく声はあげないだろうから、純粋な皮革楽器の音色を楽しむとしよう。

 パァン。 ピシッ。 パァン。 ピシッ。

 まずは掌で右頬をうつ。 一瞬横顔をみせるも、すぐに正面をむくB29番。 手の帰り道は、甲で左の頬を通す。 いわゆる『往復ビンタ』は、帰りに揃えた指先で頬をうつといい音がなる。 手の動きに合わせ、B29番は赤みがかった横顔をみせるが、またもとの姿勢に戻って次のビンタに備えてくれる。 

 パァン……ビシ、パァン……ビシ、パァン……。

 頭の中に流れるメロディーに合わせて頬を張ると、いつも自分が指揮者になったように錯覚する。 ぶたれるたびに泣きそうになる少女もいて、そういうのは興ざめなのだが、その点B29番は痛みに怯える様子を見せないのがいい。

 ビッシィッ!

 一拍休んでから、最後のビンタ。 中々な手ごたえ。

「お下がりなさい」

「ありがとうございます」

 四本の指の痕をくっきり刻まれたB29番は、身体の両横に腕をそろえ、深々と頭をさげた。 少しくらい声が上擦ったり、涙を堪えてくれる方が面白い時もあるが、B29番はいつもこうだ。 爪を剥いだり、灸をすえたり、息をとめたりしても、平静さを失わない。

 さて。 いよいよ初々しい登下校服の新入生たちだ。 
 誰がどんな音色なのか、一通り試すにやぶさかではない。

「貴方たち、一列に並びなさい。 本当はもっと厳しくしたいところだけれど、これから寮生になるところだから、特別に1人につきビンタ10発で済ませます。 最初は、そうね、右端の、そこのおっぱいさんからにしましょう。 まず自分の番号をいって、よろしくお願いします、といいなさいね」

「「ハイ!」」

 小気味いい返事に続き、新入生達はさっと列をつくった。 集合訓練を済ませているのだろうか? だらだらと譲り合ってばかりのクラスもあるが、今年は動きに迷いが少ないように思う。



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