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美咲先生
【幼馴染 官能小説】

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美咲先生-3

4. 
 慣れない疎開生活も、村の中に親戚が大勢いて、クラスにも従兄妹が何人かいて、疎開者としてはまずは恵まれた生活が続いた。
 授業は半日で、毎日1キロほど離れた松林に松脂採集に出かけた。松の幹に溝を掘り、流れ出る松脂を下に付けた空き缶に採集する。飛行機の油にするんだと先生が言っていた。
 体操の時間に、落下傘で降りてきたアメリカ兵を捕まえて縄で縛る訓練をした。

 8月になり、お盆の墓参りから帰ると、戦争が終わったと聞かされた。
 年が明けて、国民学校を卒業した。
 焼け跡の東京に戻って、中学に入った。幸い我が家は焼けなかったが、焼け出された知り合いの人が住んでいて、大勢が部屋を分け合う生活になった。
 
 美咲先生を訪ねてみたが、家は焼けていて消息は知れなかった。

 先生に再会したのは、大学を出て大手の自動車会社に就職をした時だった。
 先生は、同じ会社の総務部総務課にいた。
 新入社員研修で初めて先生に会ったときの驚き。先生もびっくりして、目を丸くした。
「美咲先生」
「秀夫君」
「生きていたの?」

 小学生のときに見た先生はオバサンに見えたが、今見るとすっかり若返って見えた。
 当時の先生は女学校を出たての代用教員で、秀夫とは7歳しか違っていなかったのだ。

 会社が引けると、秀夫は先生を近くのレストランに誘った。
 積もる話は尽きない。
「もう秀夫君じゃないわねぇ、早瀬さん」
「いいですよ先生、秀夫君で」
「先生は止めてちょうだい、森口美咲です」

 森口美咲さんは、焼ける前の家の近くの、大塚の焼け残ったエリアのアパートに住んでいた。
 学校が閉鎖になり、飛行機の軍需工場に事務員として就職して、戦後はそのまま自動車会社に転換した会社に残ったという。



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