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笛の音
【父娘相姦 官能小説】

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笛の音 4.-15

 愛美の声が聞こえてきた。フルートの男と話している間に、直樹と話はついていたようだ。
「……ご、ごめんね、愛美」
「ううん。私もごめんね、おねえちゃん……」
 愛美の照れた笑み声が聞こえてきた。「おねえちゃんの『彼氏』に、ちょっとさわっちゃった」
 時間にすると、ちょっと、ではなかった。だが有紗は笑いの息を聞かせて、
「いいよ。……ダメ、だったんでしょ」
「うん。……やっぱり直くん、おねえちゃんじゃなきゃダメみたい」
「うっ……」
 有紗は躊躇なくディルドを抜き取った。持ち手だった柄の先まで蜜に塗れている。二度目の絶頂はまだだったが、もうコレは必要なかった。
「……直樹に代わって」
 わかった、と言った愛美が傍に何やら呼びかけ、やがて、
「有紗さん……」
 と静かな声が聞こえてきた。
「直樹。……会いたい。すぐ会いたい」
 涙声になっていることに気づいた。今から直樹の部屋に行こう。いや、せっかく大手を振って会えるようになったのだから、外で会いたい。どこがいい? できれば松戸からやり直したいが遠い。もうそこまで我慢ができない。
「神田に来て」
 有紗は愛美に再び代わってもらうことなく電話を切った。ディルドを洗う時間はないから、暫く預かって、次に休みを取った時にこっそり返そう。下着も不快なほど汚れてしまったが履き替えている時間が惜しい。どうせこのランジェリー姿に興奮した直樹が、もっと汚してくれる。
 憑き物が落ちたような顔でベッドから降りた有紗に、本来から憑き物であった筈の彼が声をかけた。
 わたし、とかイイ奴ぶったこと言ってないで、さっさと俺に願えばいいだろ? 屠りたい奴なんて、もともと一人しかいないじゃないか。
 愛美のドレッサーを借りて、後ろ頭に両手を入れて梳かし整えた有紗は、充血した己の目に畏怖を覚えつつ、分かってんなら訊かないでよ、という顔を鏡に向けた。いけない、化粧は直そう。直樹が惚れるに相応しい姿になって会いに行かなければならない。ディルドと携帯を持って自部屋に戻り、クローゼットを開けて直樹が喜びそうな服を探す。
 ――最後まで面倒見てね、どうせなら。
 大好きな男を巻き込むのか?
 巻き込むのではない。駅のホームに佇む可愛い年上の女子高生に心を撃ちぬかれ、ずっと学習塾の窓際の席から見惚れていた少年の夢が、やっと叶うのだ。




 或る家に小さな男の子が居た。その子はお母さんのことが大好きな甘えん坊で、乳離れをした歳になっても、抱きしめてもらって、おっぱいを吸うことがやめられなかった。しかし弟が生まれ、お母さんに抱きしめてもらう時間は全く減った。その胸に吸い付いて幸せに乳を飲む赤ちゃんを、最初男の子は悲しく見ているだけだったが、授乳させるお母さんが弟に向ける慈愛の笑みを見ているうち、羨みは憎悪に変わっていった。お母さんを取られた。あの麗しい吸口を奪われてしまった。男の子の憎悪はとうとう限界に到達し、或る夜、お母さんが寝静まった頃にこっそりと布団に忍び込んだ。好都合なことにお父さんは仕事で帰りが遅く、お母さんは一人だった。寝息に上下するパジャマを慎重に開き、母乳に張った双乳を露にした。一口吸い付きたい誘惑に駆られたが、お母さんが起きてしまうかもしれないから懸命に我慢して、その乳首に猛毒を塗った。次に赤ちゃんがこの乳首を吸ったら、このおっぱいはまた自分のものになる。そう期待した男の子は自分の寝床に戻り、安らかな眠りについた。明くる朝起きると、何故かお父さんが死んでいた。
 有紗は信也にのしかかられる重みを不快に思いながら、中学のころ女子の間で密かに流行り、友達から聞いた時にバカ笑いしたこのブラックジョークを思い出していた。信也は腰を振り、執拗に乳首にしゃぶりついてくる。姦されている途中にこんなことを思い出したのはそのせいだろう。
「はぁっ、……っく、有紗ぁ……、ほらっ……、どうだ、お父さんのおちんちんはぁっ……!」
 どうだと言われても。有紗は浅ましく腰を振り続けている叔父が少し憐れに思えた。当然だが愛しみは微塵もない。それどころか、今自分は陵辱していると信じて高揚しているのに、その相手は下品な話に思い出し笑いをしている。
「……おおうっ! ほぅら、またイク……、有紗……。んあぁ……、出すぞっ!」
 誰も聴衆のいない前で演説するようなものだ。あるいは、弦の切れたピアノを、心を込めて奏でるような。男は自慰をした後、猛烈な虚脱感に襲われると聞いたことがある。しかし今から始まる叔父の射精は、そこに子種が潜んでいるいないにかかわらず、確実に自慰よりも虚しい無駄な発砲になる。
「んあっ、や、だ、出さないで……」
 有紗は贅肉の柔らかな腹を脚で挟んで膣洞を締めてやった。痛みを避けたい本能で少しは潤ってきたが、まだ足らない。精液を浴びれば、潤滑剤となってくれるだろう。不毛な射精には、せめてそれくらいの意義しか見出せない。
「あっ、出るぞっ、……ほらっ、いつもの、どうしたっ……」


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