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王子の甘い罠
【女性向け 官能小説】

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-1


本当に迎えに来た。
6時近くになったころ、部の入り口が騒がしいなと思ったら
広報の王子が腕を組んでドアに寄りかかっていた。

「誰を待っているんですか?」
と、女の子の黄色い声が飛び交った

私がそっちを見ると目が合って。
ごゆっくり。と仕草で示した。

「まだ終わらないわよ〜」

時間を約束したわけじゃない。
私が今日は忙しいのにこんなに早く迎えに来る方が悪い。

私のその声に、部内の女の子が
王子の目的は私だと知ると、昨日の噂と相まって
声に出さない驚きが伝わってきた。

「いつまでも待っていますので。ごゆっくり」
そう言う王子に椅子を差し出す人が出てきたけど
「結構です」と王子スマイルで辞退する。

やりにくいったらありゃしない。

「ねぇ。まだまだ終わりそうもないからどこかで待ってて」

私がそう言うと、にわかに女の子のひそひそ話が大きくなった。

「じゃぁ、僕のマンションで待ってます。
夕飯は適当にデリバリーでいいですか?」
「うん。いいわよ」

―――って!しまった。
そう自覚した時には遅かった。

シンッと静まり返った部内で
私が王子のマンションを知っているということがばれた。

ニッコリ笑った王子は
「じゃぁ、あまり遅くならないうちに来てくださいね。すみれさん」
と手を振って帰っていく。

わざとだ。
絶対にわざとだ。

ノせられた!
あんのエセ王子め!




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