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中年探偵銀次
【推理 推理小説】

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中年探偵銀次〜残された暗号A〜-3

「お前がいなかったら俺は捕まらなかったんだ!くそ!ちくしょお!」

勇が叫び終わると同時に勇は吹っ飛ばされていた。晃が殴ったのだ。

「何で…何で…殺したりなんか…」

それは、晃の口から出た精一杯の言葉であり、本人が一番に知りたいことであったに違いない。

さっきまでの興奮した状態が殴られて冷めたのか、勇は、ゆっくりと口を開いた。

「あいつは…千亜紀は、俺を嫌いになったんだ…俺はこんなに愛していたのに…最近は、お前の、晃の話ばっかで…また、お前のとこに行くんじゃないかって、だから、俺のとこにいないならって…いっそ、消えてしまえって…」

まるで魂が抜けたような声に晃は答える。

「それは、違うんだ…千亜紀は、俺と別れたあとも色々相談してきてたんだ。そのたびに幸せっていってた。喧嘩もするけど、晃の話をしちゃって嫉妬もさせちゃうけど、大好きだって…俺は、影からそれを応援してたのに…」

「じゃあ、俺はなんで…なんで…」

こうして事件は幕をおりたのだった。



三日後…

銀次の事務所に一本の電話が入った。相手は正彦である。

「もしもし、銀次か、あの事件のことだが松本勇は、全く暴れることなく素直になっているみたいだぞ。」

銀次は、三日前を思い返しながら、そうか、とだけ小さく答えた。

「にしても、犯行理由としては、ちいさなことだったな。」

銀次は、正彦の問い対して、犯人を追い詰めるときとは違う、冷静な声で答えた。

「恋愛ってのは、小さなことでも周りが見えなくなるもんなんだ。彼もその一人さ…」

銀次の解答に納得したのか、新たに質問をしてきた。

「あと一つだけ聞きたいことがあるんだが、なんで銀次は被害者が左利きってわかったんだ?今思うと俺はそれを伝えてないんだが?」

銀次はあぁ、と思い出し、答える。

「あれか、あれは被害者の腕時計だよ。普通利き手と反対につけるだろ?だから左利きだとおもってな。」


「なるほど…さすがだな」

「いや、今回は勝負だった。何てったて確実な証拠がないんだからな。どうやったら相手がうまくのってくるかって、かなり考えた。」


「なるほど、相手をうまくのせるのも探偵の力ってわけか…」

「そうなるかもな。まぁ、一番は相手に証拠を叩きつけることだけどな」

「確かにな。まぁ、あんま長話は俺も仕事中だから、怒られるから、またいずれのもうぜ。」

再び飲む約束をし正彦の電話を終えた銀次は窓を開け空を見上げた。

「いい天気だ…こんなにはゆっくりしたいがそうも行かないんだよな。」

言い終わったと同時に電話のベルがなり、銀次は、ため息をついた。

「やっぱり、休ませてくれないみたいだな…」

銀次はゆっくりと受話器を取った…


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