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中年探偵銀次
【推理 推理小説】

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中年探偵銀次〜弟子入り志願者@〜-1

「実に暇だ…」

自分の事務所でコーヒーを飲みながら銀次は、独り言をいっていた。
いつもなら、警察にいた頃の同期である、正彦から、解決できない事件があると連絡があるのだが最近は、平和らしくここ一週間、電話がかかってこない。探偵を仕事としているため、仕事が来るときは来る、来ないときは来ないとわかってはいるが、ここまで暇だとやることがない…

「帰るか…」

そう独り言のように呟くと、ピンポーンとインターフォンが鳴る音が聞こえた。

「客か…?」

本来なら客が来るのは嬉しいことなのだが、帰ろうと思ったときに来るとあまり喜ばしくない。でも、出ないわけにはいかないのでドアに近づき、ドアを開けた。

「はい、何でしょうか…お、お前は…」

銀次は、その客に見覚えがあった。
記憶を辿っていきその人物の名前を思い出した。思い出した名は、『神宮司晃(じんぐうじあきら)』
過去に一度、事件で容疑者として疑われた人物であり、あの時は荒々しい印象を受けたが今見ると、まるで別人である。今の印象は、真っすぐな青年といった感じである。あの時は気が動転していたんだろうな…

そんなことを考えていると、神宮司晃が言葉を発した。

「あの時はありがとうございました。危うく犯人にされるところでした。」

銀次は、その事件を思い返しながら、返事をした。

「ああ。別に気にするな。俺は、犯人を暴いたけだ。それに、今日は、その事を伝えに来たわけじゃないだろ?入口じゃなんだから、まぁ、あがれよ。」

「さすがは銀次さんですね。会っただけでそこまでわかるなんて…」

晃は入口のドアを締めながら答えた。

「誰でもわかるさ。お前の顔を見ればな。まぁ、座れよ」

そういいながら銀次はソファーに腰掛けた。

「んで、今日は何なんだ?ここまで来たのだからただの用事じゃないだろう?」

銀次の問いに晃は、スゥーと深呼吸をして答えた。

「率直にいいます。俺を助手にしてください!」

この言葉に銀次はかなり戸惑った。何かあるとは思っていたがまさか、助手にしてくれとは…さすがに感がよくてもこれまでは予想していなかった。

「助手か…生憎だがうちは、助手を雇うほど手に困っていないんだが…」

銀次の言葉に間をおかずに晃は答える。

「そこを何とかお願いします。この前の事件で俺は、銀次さんみたいになりたいって思ったんです。自分はあの時、何もできなかった…それがくやしくて…だから、お願いします。」

その真っすぐな瞳を見た銀次は、まるでアイツを見ているようだと思った同じ様に真っすぐな目をしたアイツを…。そのため、しばらく銀次の思考は停止していた。
それに気付いた晃は「銀次さん?」と不安そうに話し掛けた。


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