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笛の音
【父娘相姦 官能小説】

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笛の音 3.-30

「どうした? ……眠たいのか? ……くくっ」
 含み笑いをした信也が視界から消えていく。身を起こそうと手をついたが肘が折れる。もう一度膝を付いて挑んだが、口を濯ぎに行って戻ってきた信也にトンと体と突かれただけでベッドに崩れ落ちた。
「……や」
 信也もろとも、壁や天井が丸味を帯びてくる。そうだ、眠りに落ちて目を覚ましたら姦された。記憶が甦ってくる――
 ヘソのあたりに信也が手を置いてきた。中年男のネチっこい手遣いと違う。接面がヌメっている。小さく回しつつヘアの方に降り、ヌチュリと翳りを粘液にしならせると、指先が秘割まで入り込んできた。
「う、や……」
 体が動かなくなってきた。強烈な睡魔に襲われて意識が飛びそうだ。叔父の指が中に入ってくる。汗をしゃぶりまわされても全く意に介さずに乾いていた膣壁の襞の一枚一枚に丹念に粘液が塗られていく。
「ほうら、有紗の好きなオクスリだぞぉ? 寝ちまったら、……どこに塗られても抵抗できないじゃないかぁ……」
「……」
 声が出なくなった。瞼が重い。有紗が薬に敗れて闇の中に落ちる寸前、花園に塗られていたのと同じ指の感触が菊門を貫いてきた。




 七年前は徐々に晴れてくる意識とともに体に重みを感じた。覚めると悍ましい手がバストを揉みしだいていた。だが今は重みを感じない。代わりに身を折り畳まれている窮屈さで苦しい。
 茫漠とする視界に映るのは叔父に連れこまれたラブホテルの一室のままだった。どこかに連れ去られたわけではない。だが体が動かなかった。普段取らないような体勢を取っている。手首が首の後ろに固定されていた。座っているが脚をM字に開いていた。動こうとすると足首と手首、そして首に枷の存在を知らしめられた。ならば脚を閉じようとしたが、左右に大きく開いた膝も動かせなかった。太ももと脛がくっつくまで折り畳まれてビニールテープで縛られている。膝頭から伸びたロープはどこかに括られているのだろう。
(……!)
 そこまで状況が分かってやっと、口には猿轡が噛まされているのが分かった。いや、最初猿轡だと思ったが、口を閉じることができない。立てた歯に齧らせるように球体が押し込まれている。否応にも溜まってくる唾液が、ボールに空いた穴へ入り、溢れて顎から落ちて胸元を濡らしている。自分の体を見下ろすと、一枚しか身に纏っていなかった。蟲の肢のように開かされた下肢にレザーの下着を履かされていた。それ一枚のみだ。
「……んうっ」
 ボールギャグを噛んだ無様な呻き声が漏れた。見下ろしたことで顎から一気に垂れた唾液が、首元に落ちると、トロトロとバストの狭間からヘソの方へ垂れていった。その僅かな感触が肌を伝わっていくだけで、軌跡を中心にゾワゾワとした掻痒が肌の上を広がっていった。途端にレザーの下着の中の疼きが際立ってくる。眠ってしまう前に、花園の中に媚薬を塗りこまれた。それだけではない、意識が落ちる直前には指は直腸まで差し入れられていた。
 どれくらいの時間が経ったのか分からない。だが薬は確実に効果を発揮して有紗の体を蝕んでいた。椅子の上に固定されて殆ど動けないのに、僅かに身を捩らせただけで下着の中でたまらなく花唇と菊口が疼いた。そして熱く爛れるような焦燥が手足の先まで充満してくる。
「……うー」
 甘美な疼きが広がり始めてしまうと精神力で抑えこむなど到底無理だった。唾液が伝い、自らの吐息が肌に触れただけでも、もどかしさが凄まじい。悶絶したいのに体が動かせないせいで過剰に遣る瀬無さが煽られた。轡によって歪められた無様な声を漏らしてモジモジと身を震わせているしかない。
 信也の姿は見当たらなかった。舌で舐め回されても起こらなかった淫靡な反応は、眠っている間にも残酷に体内に染みこんできた媚薬によって、もうすぐそこまで迫っていた。頭の後ろの両手を握り、ボールを噛んだが、そよ風すら立たない静寂の室内では外部からの刺激は一切なく、接触を渇望している性感が辛抱きかなくなって衝動的に猛ったとき、体がビクビクッと痙攣して体の奥が熱く潤った。必死に押し留めていたぶん、一度漏らしてしまうと下腹の奥が蠕動して何度も迸ってしまう。部屋の中には自分の淫りがわしい吐息だけが聞こえた。時折部屋の外を入室した客なのか、清掃員なのかが歩いて行く。大声を上げて助けを呼ぼうか。こんな格好を誰かに見られてでも。それほど疼きは有紗を悩まさせた。意識が戻ってからの時間の流れは、眠っていた時に比べると止まっているように遅い。
 狂う――。自我がこと切れそうになったところで、部屋の玄関で物音がした。管理人に口止め料を払ったのか、二回分の料金を払ったのか、途中退室していた信也が戻ってきたのだ。姿が見えたら、血涙が出そうだが、拘束を解くよう願い出よう。あるいは、もう叔父の汚らしい手でもいいから……。屈するのも辞さないつもりで、入口の方を見て驚愕した。
「――えっ! ちょぉっ、何よ、あの子!」
 信也より先に、襟の開いたニットワンピースを纏ったムッチリとした女が現れた。ダウンライトに照らされると金髪にも見える下品な華やかさ。エクステと派手なメイクで随分と誤魔化しているだろう女は、手提げバッグをクルクルと振り回しながら有紗の方へ向かってきた。外を歩いてきたばかりの格好をしている女の前で、今の自分の姿はあまりにも惨め過ぎたが、動けないならば顔を背けるしか無い。


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