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忘れ得ぬ夢〜浅葱色の恋物語〜
【女性向け 官能小説】

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重なり続ける罪-1

4.重なり続ける罪

「あ、おったおった、シヅ、」
 週明けの月曜日。午前の休憩時間、職員室のデスクにぼんやりほおづえをついていた私に、ホットココアの入った紙コップを手にした敦子が近づいてきた。
 彼女は声を潜めて言った。「あんた、一昨日の夜、もしかして神村さんと一緒やった?」
 私は思わず身体をこわばらせ、彼女から目をそらした。
「やっぱり……」敦子は遠慮なくため息をついた。
 私は目を自分の膝に向けたまま、小さな声で言った。「なんで……知ってるん?」
「あんたの外出用のパンプスが土曜の夜から日曜日の朝まで靴箱に入ってへんかった」
「気づいてたんや……」
「わたし気になって寮長さんに訊いたんや。あんた土曜の夜、寮長さんに電話で外泊するて連絡したんやて?」
「……」
「まだこっち来て半年しか経ってへんのに、あんたが外泊する所なんてあるんかいな、思たんや」
「そうやな……確かに」
「ますます気になってな、今朝さりげなく雑談装って木村さんに訊いてみたんや。土曜の夜は宴会やったそうですね、楽しかったですか、ってな」
「それで……知ったんやな、あっちゃん。わたしが主任と二人で別行動したこと」
「あんまり詳しく訊かへんかったから心配せんでもええで。妙な詮索されたらかなわんやろ? あんたも」
 私は小さく頷いた。

 敦子は空いていた隣のデスクの椅子に腰掛けた。
「あんたにはアルバートくんがおるやない 大阪に」
 言葉もなく私はただじっと固まっていた。
「神村さんに無理矢理連れて行かれたんか?」
 私は小さく首を横に振った。
 敦子はあからさまに呆れ顔をした。「あんたも同意の上やったんか。どういうことやねん」
 私はうつむいたまま黙っていた。
「止めとき。そんな火遊び。神村さんにかて、奥さんや子供がいてはるんやから」
「……わかってる」
「アルバートくんの耳に入ったらどうする気ぃや? 一気に関係壊れてまうで」
 私は目を上げた。そして小さなため息をついた。
「やっぱり……そうなるやろな」
 敦子は周囲をきょろきょろと見回した後、立ち上がった。「遠距離でなかなか会えへんから寂しいのんはわかるけど……。悪いことは言わへん。もうこれっきりにしいや」



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