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忘れ得ぬ夢〜浅葱色の恋物語〜
【女性向け 官能小説】

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寂しさの行方-6

 ケネスはテーブルのアルバムに手を掛け、最初にシヅ子が見せた集合写真に視線を落とした。
「その神村っちゅうオトコはどれや?」
 シヅ子は唇を小さく噛んで数回瞬きをした後、小さな声で言った。「四列目の右端や。わたしの斜め後ろ」
 ケネスは黙ってその男性を凝視した。
「背の高いオトコやな」
 シヅ子はその言葉には何も返さなかった。

「おかあちゃんは、」ケネスが目を上げ静かに口を開いた。「なんでそないに欲求不満になってたんや?」
 シヅ子は小さく一つため息をついて答えた。「寂しかったんや。あの人に見抜かれてた通りな」
「つき合うてたおやじと離れとったことでか?」
 シヅ子は頷いた。「神村さんもそうやった、思うで。寂しい思いをしとる者同士が、たまらず求め合った、ちゅうことや」
「そんなん理由になるわけないやろ!」ケネスが大声を出した。「二年もつき合うてる親父がいてるのに、なんでそないに軽く他人に抱かれんのや! 親父への思いは本物やなかったんか!」
 シヅ子は背を丸めて申し訳なさそうに言った。「あんたが怒るのんも無理ないな」
 憮然としたケネスの横のマユミが努めて穏やかな口調で言った。「お義母さんは、それで寂しさが癒やされたんですか?」
 シヅ子は小さく首を横に振った。
「幸いなことに、その夜、あの人との行為の後は、やっぱり虚しい気分になっとった。思った通りな。最中はこの人ともうどうなってもええ、っちゅう気持ちになってたんやけど、興奮が冷めていくにつれ、ああ、わたしは何しとるんやろな、思い始めて、気が重うなっていったわ」
「当たり前や!」ケネスが身を乗り出して叫び、テーブルを拳で叩きつけた。「そないな行為に大満足しとったら、親父の立場はどないなるねん。面目丸つぶれや!」
 マユミは思わずケネスの背中にそっと手を置き小さく言った。「ケニー、もう昔のことだから……」
「何と言われてもしかたあれへん。わたしのやっとったことは、どう繕うても正当化できるもんやない。それはわかっとるし、あの時もわかっとった」
 ケネスは口を閉ざし険しい顔でコーヒーカップを口に運んだ。

 マユミが言った。「その夜のこと、誰にも知られなかったんですか?」
 シヅ子は自虐的な笑みを浮かべた。「すぐにあっちゃんにバレてもうた」
 ケネスがカップを持ったまま目を上げた。

「めっちゃ諫められたわ。真剣にな」


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