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闘犬
【その他 官能小説】

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雲心月性-1

白石は闘犬の大会となると一ヶ月近く家を空ける事がある。かつては菜穂子も同行していたが、肌に合わないと感じ、今では家で留守番をする様になった。
留守の間は犬小屋の檻の中を徹底的に掃除する事になっていた。
その日も大会で留守になったばかりの犬小屋の掃除をしていると、生け垣の向こうでオシッコをしている一秋を見つけた。
「あーっ、かずちゃんまたオチンチン出してる!」
「おばさん、渦潮は?」
「喧嘩の試合に行っちゃたよ。だからお掃除してるのよ。かずちゃんもお手伝いしてくれる?」菜穂子は一秋を呼んだ。
「いいよ。今行くね。」一秋は表に出て、菜穂子のところに向かった。

檻の中にはホットパンツで生足にエナメルの長靴を履き、紫色のゴム手袋をした、いつもと違う姿の菜穂子が掃除をしていた。一秋は股間に不思議な感覚を感じていた。

「ありがとうね。渦潮のお家を綺麗にしなくちゃ。かずちゃん水撒いてくれる?」菜穂子の頼みに水道へホースを取り付けに行くと、ガタッと木戸が開いた。
「こんちはー、汲み取りです!」清掃局のおじさんがバキュームカーのホースを引っ張って入って来た。
「あー、ご苦労様。かずちゃん、ちょっと待ってて。」そう言うと菜穂子は家の中に入っていった。
おじさんは木枠の汲み取り口を開け、緑色したホースの先から、シュポッゥとボールを踏んで外すと「いーかい?」と菜穂子に声をかけた。
「はーい。」菜穂子の声がする。「でも、水が間に合わない!かずちゃん、悪いけど水をさっきのホースでおじさんに渡してくれる?」
一秋は水道の蛇口を開き、ホースを伸ばした。

「小湊さんちの子だね。ありがと、終わったらボクん家にも行くからね。」そう言いながらホースを動かしグボッグボッと音を立て吸い込んでいった。
「おじさん。相談があるんだけど?」エナメルの長靴を履きながら菜穂子が出て来た。
「なんだい?」
「犬小屋掃除してたんだけど、ちょっとホース借りて犬の糞吸い込んじゃダメ?」そう言いながらティッシュに包んだお金を渡した。
「なんだい?犬の糞かい?詰まんなきゃいいけど、犬の糞なら大丈夫だろ。」

菜穂子の家の汲み取りが終わると、おじさんはホースを伸ばし犬小屋に向かった。
「おや、デッカイ犬がいんだね。えー、人のクソより太いよこりゃ!」そう言って檻の中の菜穂子にホースを渡した。
菜穂子は掃除機の要領でホースを使って、渦潮の糞を吸い込んだ。一秋の目に、紫のゴム手袋でブルンと暴れる緑のホースを持った、ホットパンツにエナメルの長靴を履いた菜穂子の姿が焼き付いた。

バキュームカーは一秋の家も含めて近所中を終わらせ、臭いだけを残して去っていった。心地よい興奮が記憶の隅の角に残る出来事だった。


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