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〈生贄の肉・二つ〉
【鬼畜 官能小説】

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〈蠢動〉-6



――――――――――――



「………」


玲奈はいつものように最前列の椅子に座り、心穏やかな祈りを捧げる。

薄暗い空間にスカートの深緑と青は同化し、深い紺色の衣装となって見えた。

静かな呼吸の音だけが聞こえ、それにコツコツと誰かの足音が混じる。
その温かな空気が肌に感じられると、玲奈は瞼を開けて、その方向に向いた。


「学校、終わったようですね」


優しい瞳を向けてくる“存在”は、玲奈が心から慕う奈々未であった。
緩やかに歩みを進め、玲奈の隣に座ると、首を僅かに傾げてその顔を見詰める。


「……私、友達の恋愛話に、少しだけ心が騒ぎました……」


玲奈は、今日の昼休みの時の自分の胸中を打ち明けた。
懺悔と呼ぶには大袈裟であり、ましてや奈々未はまだ見習いであるのだから、軽い悩み事の相談のような物であった。


「玲奈さんは年頃なんですから、異性に興味を抱くのは仕方のない事です。それは誰にでも有る事……数年前の私も含めて……そのような悩みがあるのは、当然かもしれません」


奈々未は静かに玲奈の悩みに答えた。
それは諭すと言うより、我が事のように伝える。と言った方が適当と言えた。

その優しい語り口に玲奈の心は解れ、春の陽射しを浴びるように、ポカポカと暖まっていくのを感じていた。


「また悩む事があったら、私にお話ししなさいね?いつでも私はここに居ますから」

「ありがとうございました。なんか……気持ちが落ち着きました……」


まだ見習いであるからこそ、奈々未には玲奈の悩みが理解出来る……見送るように奈々未は玲奈と並んで歩くと、教会の扉を開けて夕闇の迫る空を見上げた……。


『みッ見ろ!?あの女…!』

『す…凄え……あんなイイ女が居たのかよ?』


男は身を屈めて車まで戻り、急いでカメラを持ってくると、慌てて電源を入れてレンズを向けた……。




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