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浦和ミュージックホール
【その他 官能小説】

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インタビュー ウィズ まり子-1

 「コンプレックスの塊だったんです・・・私・・・」
 酒は飲めないと言うのでまり子との話は喫茶店でした、大きな喫茶店だが深夜でもあり客はまばら、酔って寝込んでしまっている人もいる。
 「顔も体も子供っぽいでしょう?小学校低学年の頃はまだしも高学年の頃にはもうからかわれてました、中学の頃はもうほとんどイジメで・・・高校一年の時でした、転機が来たのは」
 「その転機と言うのは?」
 「スカウトされたんです、カメラマンの人に」
 「ロリータ雑誌・・・だね?」
 「はい・・・その時16歳でもう少女モデルとは言えなくなってましたけど、『君を撮ってみたい』って熱心に言われて・・・ヌードだってはっきり言われてましたので迷いました」
 「それはそうだろうね」
 「でも結局、撮って貰いました、それまでコンプレックスの種だったのにそれを『撮りたい』って言ってくれる人が現れたんです・・・藁にもすがる気持ち、って言ったらその人に申し訳ないですけどそんな気持ちでした」
 「それがこの写真集?」
 まり子のショーを見てから探してみたら案外簡単に手に入った、注文するまでもなく書店に並んでいたのだ、ただ単に俺にロリータ趣味がなかったので知らなかっただけでその筋ではかなり有名だったのだ。
 「最初から写真集じゃなかったです、最初は雑誌に5〜6枚掲載されて・・・」
 「反響は良かったんだ」
 「ええ、それで続けて3ヶ月掲載されて・・・その時撮り溜めてたのを纏めたのがそれです」
 反響が良かったのはロリータ趣味のない俺にも納得できる、俺の好みから言えば幼すぎる体ではあるものの、本物のロリータとはやはりどことなく違っている、ロリータが固い蕾だとすれば、まり子は開花を待つ蕾、内側には既に匂い立つ花びらが隠されていると感じられる、開花させてみたくなる魅力を秘めているのだ。
 「あそこもバッチリ写っちゃってるね」
 「ヘアがなければOKなんです」
 「剃ってるの?」
 「いえ・・・元々薄かったですけど脱毛しました、黒塗りされるのは嫌でしたから」
 それもわかる、独特の日本人形を思わせる顔も相まってまり子の写真集には静謐な空気が流れている、黒い線など入ったらぶち壊しだ。
 「ご両親には内緒で?」
 「いえ、父はいないんです、もちろん生物学上はいるんでしょうけど母も誰が私の父親かわからないって・・・」
 「お母さんってどういう人?」
 「ホステスです、その前はやっぱり踊り子だったそうですけど」
 「お母さんはまり子がヌードモデルをするって知っていた?」
 「はい、相談しました、実のところ一度は断ろうかと思って、母に言えば『やめなさい』って言われて諦められるかと・・・」
 「ところがそうじゃなかった?」
 「むしろ勧めてくれました、『あなたが自分のルックスをコンプレックスに思ってるのは知っていたわ、コンプレックスを払拭するチャンスじゃない、まり子のルックスはむしろ武器なのよ』って・・・実のところ、母も童顔なんです、小柄ですし・・・ただ私みたいなやせっぽっちじゃなくてグラマーですけど・・・」
 「お母さんもそういう経験・・・虐められたりしてたのかな」
 「さあ、そう言う事は言いませんから・・・辛いこととかは全然言わないんです、楽しかったこと、嬉しかったことは眠っている私を起こしてでもしゃべりましたけど」
 「まり子はどう思う?」
 「やっぱり中学、高校くらいではコンプレックスだったと思います、イジメまではわかりませんけど・・・でも母は童顔、小柄を武器に変えました、踊り子時代は知りませんけどホステスとしては・・・だから私に勧めたんだと思います」
 「だろうね・・・でも学校には秘密だったんだろ?」
 「一応は・・・でもばれちゃいまして、母が呼び出し食ったんです、『おたくの娘さんがこんな破廉恥な写真を云々』と言われたら真っ赤になって怒りました」
 「へえ、なんて言ったの?」
 「『あんただってエロ本見ながらセンズリかいたことないとは言わせないわよ、まり子の写真見てセンズリかきたい男は沢山いるの、それこそ何万人、何十万人もね、そういうものを提供する女は必要なのよ、奇麗事じゃないの、絶対に必要なのよ、性犯罪の防止にだって役立ってるかもしれないのよ、ウチのまり子はあんたよりよっぽど社会に貢献してるんだから・・・何よ、したり顔で偉そうに!』って・・・一字一句間違いないですよ、それくらい強烈に憶えてるんです」
 「ははは、豪傑だね」
 「隣で聞いていてスカッとしました、それで高校は辞めました、どうせ大した学校でもなかったし、ヌードモデルを続ける方が私にとって意味があることだってはっきり意識できて迷いもなくなりました」
 「それで、踊り子をやろうと思ったのは?」
 「撮影の時、カメラの後ろに沢山の人の視線がある事は意識していました、でも生の視線ではないでしょう?直にその視線を感じてみたくて・・・モデルをやめたわけじゃないんです、月に2回くらいは今でも撮って貰ってます」
 それは知っている、気をつけてみればまり子の写真はあちらこちらで見られる、一般向けの男性誌に掲載されることはまずないが、ロリータ誌だけではなくSM誌、更にはカメラ専門誌にも掲載されている売れっ子なのだ。
 SMマニアが目を付けるのもわかる、手錠をかけられただけでもまり子の被虐味は際立つ、小柄で幼く見え、大人しいまり子を縛った写真を目にした時、まり子という存在そのものが縛られているように感じ、ぞくっとした、カメラ誌に載るのも理解できる、あの静謐な雰囲気はまり子に独特なものだからだ。
 ただ、その時は『撮って貰っている』という言い回しにちょっと違和感を覚えたのだが・・・。


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