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笛の音
【父娘相姦 官能小説】

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笛の音 1.-32

「シャワー……、浴びてないけどいい?」
 額を合わせ、鼻先を突つきながら有紗が言うと、
「……いったん離れる?」
 と直樹が問うたから、ううん無理、と言ってまた二人で微笑んだ。有紗は直樹に乗せていたヒップを上げて膝立ちになると、自分でショーツを掴んで脚の付け根まで下ろしていった。彼の目の前で下肢を晒す恥ずかしさはあったが、躊躇している間に直樹に離れてもらいたくない。太ももまで引き下げると片脚を立てて抜き取ってしまう。
「直樹も」
「有紗さん、でも……」
 どうやら余計なことを言おうとしている口を唇で塞いだ。レンタルルームという所は、カップルでの利用を認めておきながらコンドームは置いていないらしい。
「ここでやめるなんてできる?」
「……できない、けど……」
「私もできない」
 有紗は睫毛を少し伏せ、揺らめく瞳で直樹を見下ろした。「……して。このまま」
 すると直樹が有紗の立膝の間から身を起こして、膝立ちになるとボクサーブリーフを下ろしていった。有紗はヒップと後ろ手を付いて座り、その様子を見上げていた。目の前に屹立する男茎は、卑猥さや獰猛さよりも、神々しさを感じさせた。初めて見た彼の大きさは、直樹の細身の体には似つかわしくないが、自分に対する欲求をいっぱいにまで充填して脈打っている猛々しさが、下賜して欲しくなるほど有紗を惹きつけ、膝を折った脚の奥は蜜を溢して彼の来訪を待望していた。
 直樹が膝を進めてくると、有紗もヒップをズラして寝台の上に身を横たえていった。何も言わずとも、体勢を変える息が合った。直樹の顔が見える、この体位で迎えたいと思っていて、彼もそうしたいと思ってくれていた。だから直樹の男茎が入口に押し当てられただけで、彼の温もりで体が跳ねて、奥から蜜が迸った。中はもう茹だるほどにヌメっている。
「な、直樹……」
「ん?」
「す、すごく……、濡れてるでしょ?」
 淫らに濡らしていることを、直樹は一言も指摘してはいないのに、有紗は自分から言った。「こ、こんなにヤラしい……、女になってて、ごめんね」
 涙が左右のシーツに落ちていった。直樹の体を受け入れる時が来たのだ。しかし、自分にはもう、直樹に捧げる物は何もなかった。
「……」
「や、約束……。い、今まで、待たせて、ごめんね」
「有紗さん……」
 直樹が腰に力を入れて、媚肉の中に先端を埋めてきた。
「んんっ!」
 亀頭が埋められただけで、中が激しく蠕動した。固い寝台のシーツの上には掴んで握りしめる物が無いから、両脇に手をついて身を覆ってきた直樹の腕を握りしめた。ゆっくりと亀頭が進んでくる。体が開く。性楽に脳を痺れさせながら、荒々しくはない、焦れったさすら感じさせるほどゆっくりと進んでくる男茎を何度も締めあげる有紗の耳元に、
「……有紗さん、好きだよ」
 と聞こえてきて、最後まで直樹が到達した瞬間に絶頂が訪れていた。激しく突き上げてそこへ強導されるのではない、優しく愛おしい接合の最中に聞こえてきた、心の中に手を入れられて直接掻き混ぜられたような言葉で達した絶頂は、これまで知るものを著しく凌駕して有紗を耽楽させた。
「だめ……」
 だが、有紗は朦朧となりながら首を振った。絶頂の余韻の中で、深く考えられないで言ったのだから直感的なものだ。直感が彼の言葉を否定しなければならないと訴えていた。
「好きだよ、有紗さん」
 また言った直樹がゆっくり抽送を開始してくる。握った彼の腕が震えている。暴発に耐えているようだ。襞壁を擦る幹は、達したばかりの有紗をずっと性楽の高みに押し上げたままにしてくる。その恍惚の中でも、有紗は瞼を閉じ、口を結んで頑なに首を横に振り続けていた。
「……有紗さん」
 直樹が有紗の答えを求めている。直感は、危ない、と訴えて続けていたが、直樹が徐々に律動を早め始めると、下腹部から全身を包んでくる快楽が脳の中の直感を司る場所すら融かし落とそうとしてきた。
「ううっ……、直樹……」
「ウソ、だよね、あの時の電話」
「うあっ……」
 直樹がシーツについていた手を崩して有紗に覆いかぶさると、強く抱きしめて耳元で問うてきた。密着する肌に身震いがして、埋められている直樹の体温と脈動に、思わず脚を閉じて彼の体を挟んだ。
「……そうでしょ?」
「ちがう……」
「ウソだ」
「ちがうっ……!」
 有紗は直樹の吐息を顔に感じたまま、彼の頭を抱きしめた。奥まで届く度に、直樹の先端に熱い愛汁を浸して幹を締め抱く。
「ウソだよっ……」
 有紗から別れの理由の訂正を聞きたい直樹が、爆発が近くなって焦りを滲ませながら有紗に問いかけてくる。
「……ウソじゃないっ。……ウソじゃないの、直樹……。でもね……」
 その嘘は認めることができない。それを認めれば、何故嘘をついたのかという疑問が彼の前に現れる。直樹は真実は聞かないと言ってくれたが、問題はそれだけではないのだ。嘘を認めてしまえば、有紗の中での彼に対する最後の誠意が散逸してしまう。嘘を自白して、心に虚無の風穴が空いては、とてもこの先を忍んでいることができなくなる。
「……でもね、直樹……。きもちいい……」


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