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プラネタリウム
【ラブコメ 官能小説】

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G.-6

「ちょ…あ、だ、誰か来て!誰かー!!!」
病棟のスタッフが叫ぶ声も遥か彼方に聞こえる。
目の前には口から血を流し、自分を殴る大嫌いな奴。
「ナメんなガキ。こんなコトしてるとか…いつまでたってもガキだな」
「とか言うテメーも同じコトしてんじゃねーか」
湊が言うと、瀬戸は「黙れ」と言って湊の頭を思い切り床に打ち付けた。
視界がぼやんとした後、真っ暗になる。
打ち所が悪かったかな…。

「五十嵐くん…五十嵐くん…」
誰かに呼ばれている。
声にならない声で「あ…」と呟く。
「大丈夫ですか?ここどこか分かります?」
「病院…の…」
どこだ?ここ。
起き上がり、キョロキョロ見渡す湊に心配そうな視線を向ける看護師。
その先には腫れた顔をした瀬戸薫。
「瀬戸!!!」
看護師が大きな声で瀬戸に噛み付く。
「アンタここのスタッフでしょ?!何してんのホントに。師長に伝えるからね。…あーもー、ホント情けない」
その看護師は振り向くと「ごめんね、五十嵐くん」と申し訳なさそうにこちらを見た。
「あ…いえ」
美人な看護師だが、今はそんなのどうでもいい。
瀬戸をチラッと見るが、俯いておりパーカーのフードで顔がよく見えない。
「何でこーなっちゃったの?」
「……」
「瀬戸!」
「……」
「黙ってないでなんか言いな……」
「俺が悪い」
湊は何も言わない瀬戸を見ながら言った。
「俺が悪いんです。あいつのこと怒らせちゃったみたいで。そんで殴り合いになっちゃって」
「瀬戸とは知り合い?」
「えぇ…まぁ」
「詳しく教えてもらってもいいかな?」
看護師にそう言われ、湊は当たり障りない程度にいきさつを話した。
「ホントにごめんなさい。俺が悪いんです。だからそいつのコトは師長に言わないでやって。怖いんでしょ?こいつんトコの師長」
「あはは!怖いなんてモンじゃないよー!オーラやばいって!」
看護師と笑いながら話す。
その間も瀬戸はずっと黙ったままだった。

1時間ほど休むと体調も良くなったので帰ることを伝える。
「ホントに大丈夫?」
「全然へーきっす。あの…次いつ来れるか分かんないんすけど、もしなんかあったら連絡下さい」
湊は看護師のメモ帳に電話番号と名前を書き、そう言った。
「風間さんが羨ましい」
「え?」
「こんな素敵な彼氏がいてさ。…研修医に取られないよーに見張っとくね!」
「はは!あいつのこと、よろしくお願いしますね」
「お気を付けて」
湊は会釈して病棟を去った。


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