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プラネタリウム
【ラブコメ 官能小説】

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G.-1

ひどく頭が痛いのと、身体が熱いのとで目が覚めた。
化粧も落とさずに寝てしまい、後悔する。
隣に居たはずの湊がいなくて、辺りを見渡す。
リビングの方から人が喋る声が聞こえる…。
陽向は布団から出て、重い身体を引きずりながらリビングへ繋がるドアを開けた。
湊が好物のコーラを飲みながらポップコーンを食べている。
視線の先にはテレビ。
あぁ、テレビの声だったのか。
その答えにたどり着くまでだいぶ時間がかかった。
物音に気付き、湊が振り向く。
「起きた?」
「…ん」
「すげー爆睡だったから、ひとりで起きた。体調へーき?」
陽向は頭を振り、虚ろな目で湊を見た。
一瞬にして顔が曇る。
湊はリモコンでテレビの電源を切ると、肩で息をする陽向に近寄りおでこに手を当てた。
「寝てろよ…」
「…ん」
この頭の痛さは二日酔いか、それとも風邪のせいか。
分からない。
陽向はうわ言を言いながら再びベッドに横になった。
湊が脇に体温計を挟んでくれる。
陽向は何も言わず、死んだように眠った。
なんだこれ…。

目が覚めた時、時計を確認したら14時だった。
出しっ放しの体温計は39.5℃を表示していた。
これはリアルなのか。
…でもこの感じはそうに違いない。
半開きの目で天井を見つめていると、丁度湊が入ってきた。
「病院行くぞ」
「え…でも…」
「でもじゃねーよ。このまま発作でも起きたらどーすんだよ」
湊はリビングの窓に掛けてあったジャケットを羽織りながら何処かに電話し始めた。
それをボーッと見る。
湊が戻ってくる。
「車取り行ってる時間ねーからタクシー呼んだ。あと10分したら来るから」
「ん…」
「ひな」
「ホントに病弱だな、お前」
「ごめん…」
「俺いなかったらどーしてたんかね」
「そんな冗談聞きたくない…」
湊は陽向の頭を撫でると、クローゼットから一番あったかそうなコートを取り出して陽向に着せた。
「こっちおいで」
リビングに連れて行かれ、ヒーターの前に座らされる。
電源を入れた後、湊は陽向を後ろから抱き締めた。
「寒くない?」
「ちょっと寒い」
湊の腕がブルブルと震える身体を纏う。
「もーちょっとの辛抱な」
陽向は目を閉じて湊の優しさに浸った。

タクシーに乗り、近くの市民病院まで行く。
初診である事を伝え、長いソファーに座り呼ばれるのを待つ。
1時間ほど待たされた挙句、喉も腫れてない、風邪ではないと言われ、解熱剤だけ出されて終わった。
「カスだな、この病院」
湊はそう言いながら外の自販機でポカリスエットを買い、陽向に渡した。
「…ありがと」
あまり喋っていないからか、声が上手く出せない。
「薬飲んで、とりあえず熱だけは下げねーと。明日仕事?」
「うん」
「休ませてもらえよ」
「そーゆーわけにはいかないの…」
陽向は充血した目で湊を見た後、視線を逸らした。
「…だよな。その状況、すげー分かる」
「湊は…?明日…仕事?」
「明日も明後日も。ずーっと」
「次の休み…いつ?」
「んー…わかんね」
「大変なんだね」
「最近ちょー混みまくり」
湊は「良いことなんか、そーでないんかわかんねーけど」と言って切なそうに笑った。
なんだか、疲れてる。
「湊…」
「んー?」
「身体、気を付けてね」
「病人に言われたくねーよ。お前もだろーが。明日…頑張れそ?」
「とりあえず…薬飲んで頑張る」
「明日、仕事終わったら行くから」
「え…いーよ…。お家で寝なよ…」
「これだからやだね」
「え…?」
「別々に暮らしたくない」
「……」
「体調良くなったら、不動産行こうな」
湊は陽向の頭を撫でた。


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