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飛べない鳥の飛ばし方
【ファンタジー 官能小説】

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予想と違う現実-2


 この女性も例に漏れず、柔らかそうなオレンジ色の革で出来たビキニトップに同素材のマイクロパンツ。
 リョウツゥが赤い布だと思って見ていたのは、彼女の剥き出しの肌にびっしり生えている赤い鱗だった。

「何を探しているんだ?」

 呆けていたリョウツゥに、女性はもう1度問いかけた。
 その表情は怪訝で、リョウツゥは慌てて我に返る。

「ぁの……役場……を……」

 言いかけて言葉に詰まった。

(クアトリアに役場なんかあるのかしら?もしなかったら私が何も分からない田舎者ってバレちゃう。そしたらいかがわしいお店に売られてあんな事やこんな事や……)

 再び勝手にパニクったリョウツゥは、目の前がぐるぐるしだし、終いには……。

「え゛っ?!」

 ばたーん、とその場でひっくり返ってしまったのだった。


 何だか爽やかな香りが届き、リョウツゥはすんと鼻を鳴らす。
 ゆっくりと開けた視界はゆるゆると歪んでいた。
 どうやら泣いていたようだ。

「……ぁれ?」

 目を擦って視界をはっきりさせ、周りを見てみると何処かの部屋の中だった。
 ピンク色のカーテンに、その窓辺には可愛らしい小さな花の鉢植えが置いてあり、フワフワのクマのぬいぐるみが寄り添うように座っている。
 少し身体を起こすと、そこが寝台だと気付いた。
 寝具もピンク色でヒラヒラのレースで縁取りされている。
 爽やかな香りは枕から漂っており、どうやら匂い袋が仕込まれているようだ。

「ぇっと……」

 何があったんだっけ?と記憶を辿ったリョウツゥの顔が、途端に蒼白になる。

 そうだ、倒れてしまったんだ。

 知らない世界での、したことの無い1人旅で緊張の連続だった。
 旅も徒歩で、寝るのも野宿で済ませた。
 バインの荷物には勿論、お金が入っていたのでありがたく使わせて貰ったが、クアトリアまでの距離も分からなかったし、お金もどれくらいかかるか予想もつかなかったので切りに切り詰めていたのだ。
 そして、やっと到着した『始まりの泉』で投げたコインが最後のお金だった。
 だからこそ、不審人物ジルに当たった時、必要以上に落ち込んだのだ。

 まあ、その事は解決したのでもう良いのだが……解決したからこそ気が抜けてしまったのだろう。
 疲労と空腹と緊張が重なって限界がきたのだ。



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