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飛べない鳥の飛ばし方
【ファンタジー 官能小説】

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予想と違う現実-1


 『始まりの泉』の噴水で願い事をしたリョウツゥは、ベンチに座って途方に暮れていた。

 バインの荷物を持って着の身着のまま里を飛び出してきたリョウツゥには、クアトリアで頼れる所は勿論無い。
 里から出た事も無いので勝手も分からない。
 このまま途方に暮れていて良いワケが無いのも分かってはいるが、いったいどうするのが正しいのか判断がつかない。

(このままじゃきっと怖い人達に声をかけられていかがわしいお店に売られちゃう。そしたらあんな事やこんな事をさせられて、使い物にならなくなったらもっと酷い所に売られて、終いには殺されちゃうんだわ)

 想像力が豊かなリョウツゥは様々なシチュエーションを妄想し、勝手にパニクる。

(ああ、でも、殺されちゃう前には勿論、挿入もあるのよね。そしたらバインさんとの約束が守れなくなっちゃう)

 そうだ、パニクっている場合ではない、と気付いたリョウツゥは勢い良くベンチから立ち上がった。

(よし!まずは働く場所を探さなきゃ)

 パニックから見事に脱したリョウツゥは、役場を探す事にした。
 リョウツゥの里では役場があって、そこが働き口を紹介したりしていた。
 クアトリアにもきっとそういう場所がある筈だと思ったのだ。
 リョウツゥは周りをキョロキョロと見渡し、大きな掲示板を見つける。
 それはクアトリアの地図で、飲食店や宿屋など色んな店が記されていた。

「えっと……」

 リョウツゥが背伸びして地図を見ていると、後ろから声がかかった。

「何を探している?」

 女性の声音だがえらくぶっきらぼうな口調に、リョウツゥは恐る恐る振り返る。
 しかし、目の前には赤い布しかなかった。
 視線をゆっくりと上げていくと、赤い布から褐色の見事な双丘がはみ出ている。
 更に視線を上げると、リョウツゥを見下ろす紅い瞳があった。

「何を探している?」

 同じ言葉を紡いだ口は薄くて、紅い瞳はキリッとしている。
 白いストレートの長い髪をポニーテールにした背の高いその女性は、赤の地域の民のようだ。

 火山地帯の赤の地域に住む赤の民は、熱に耐えうる為に身体に蜥蜴の様な鱗を生やす事が出来る。
 基本的に体温も高めなので、寒い時期でも薄着だ。



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