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恋のMEMORY
【少年/少女 恋愛小説】

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ためらう理由-2

「あっ、いたいた!おーい!」

放課後、伊吹さんに誘われ地元アイス店へ足を運び、店に着くや否や辺りを少し見回し、
ゲンキンに手を振る。彼女の視線の先を振り向くとそこに。

「あっ!ともちゃんお疲れー。」
「先食べてるぞー。」

私達と同じ制服を着た少女達が、テーブルにアイスを置き、伊吹さんの声に返事をする。

それから小走りでその人達の元へ駆け寄り、戸惑い足を止める私を手招きしそれでも固まっている私の腕を掴み、その場所へ連れていく。

「あれー、ともちゃん。誰その子?。」

ともちゃんとは伊吹巴さんの愛称だろう。見慣れない顔を見て横にいる友人に視線を移し問いかける。

「紹介するね、柊若葉。この前ちょっとした事からお友達になったの。」
「あ、よ…宜しくお願いします。」

そう説明すると、彼女達は警戒したりおどおどする事なく自己紹介をする。


「へぇー、東京から引っ越して来たんだ、じゃーランドには行った?」
「あ、いいえ。」

何処かで聞いたやり取り。それから私と伊吹さん、彼女の友人だと言う二人、でテーブルを囲みアイスを頬張る。

私の話に興味津々で目を輝かせ話に耳を傾けてくれる。伊吹さんが紹介したい人ってこの人達の事か…。臆病な私は何事かと思っていたが本当、無駄な心配だった。伊吹さんは私に友達を紹介してくれたんだ。

「この前はゴメンねぇー、ドーナツ一緒に食えなくて。」
「いーのいーの!お蔭で素敵な出会いを果たせたんだし。」
「でも本当?ドーナツトレイに溢れんばかりに一杯乗せたって。」
「そうなのよ、私もビックリしたわ、見た感じ5個くらいはあったな、ねぇ?」
「いやいや!そんな。」
「だよねー、巴ったら大袈裟に物申して。」
「10個だよー、そんな少なくない。」

私の爆弾発言に一同凍り付き、一人は「どうやって乗せた?」って顔で。

「ぷっ………あはははははははははぁっ!」
「!?」

僅かの間の後、爆笑する一同。

「うっそー!良くそんなに食べるね。」
「ドーナツ好きは半端ないね。」

皆が笑い、私もつられて笑う。そんな彼女達の笑顔を見る。それはとても輝いて見える。
…少し照れるけど嬉しいな、寒い体に暖かい毛布で包まれたような幸福感。

私はもう独りじゃない。

他の子達のように友達と笑いあっている、夢じゃない。

伊吹さん、ありがとう……。







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