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恋のMEMORY
【少年/少女 恋愛小説】

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ためらう理由-1

「佐伯君!私のチョコ、受け取って!」
「何さ、それ市販のチョコじゃない。はい!手作りチョコ!」

彼の席を、チョコを持った女子達が囲む、この日はバレンタインデー。

金髪に、前髪に赤い×型の髪飾りをつけ、背も164pと平均男子よりやや低め。でもそんな彼をクラスの女子達は「愛しの王子様」「ジャニーズ系」と目をハートにし。

「おーい佐伯ぃ、こないだ借りてた漫画、面白かったわ。」
「なぁなぁ!バスケやろーぜ!」
「あぁ、今行くー。じゃまた後でね。」

バスケボールを持った男子達の元へ駆け寄る彼の背中に、不満の悲鳴を投げ掛ける彼女達。

「………。」

それは、恋って言うんだよ。

この前、モスド(モスタードーナツ)で伊吹さんから言われた言葉。

恋?それって異性を好きになるって事?私が?今まで男の子とそれなりに付き合いはあったけれど、彼と出会い彼の事ばかり考えその度に胸がドキドキする…、そんな事生まれて一度も経験した事がない…。

でも、だからってそれで…これは別にそんなんじゃ…。

「ホント可愛いよねぇー、肌もすべっすべ。」
「その割にビシッと男らしい言動もまたナイスギャップ!」

彼が居なくなった席で、先ほどの女子達が祈るポーズをしつつ、彼を幸せそうに語る。

そんな彼女達を目にし、暗い表情で自分の机に視線を落とす。

男子からも女子からも人気のある彼。それに引きかえ私何て……。

何だか自分がとても小さく惨めに見えて仕方がない。

「ヤッホー若葉!どうした?」
「っ!」

聞き覚えのある明るい声、見上げると私に笑顔を向ける伊吹さんが居た。

「ねぇ!学校が終わったら私とアイス、食べない?」
「えっ?」
「紹介したい人が居るんだ!」






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