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悪徳の性へ 
【学園物 官能小説】

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〜 一発芸 〜-1

〜 一発芸 〜

「……」

 自慰を終えた私たち。 担任の2号教官は黙って私――この学園では『22番』と呼ばれている――を見下ろしている。

「う……う……」「ひく……う……」

 そのうちにあちこちから嗚咽が漏れた。 
 ここに来て涙を抑えるのも限界にきたんだろう。 それでも大声で泣く子はいない。
 研修期間、私たちは涙が自分たちを助けてくれないことを、骨身に染みて理解した。 そうでなければ誰だって人目はばかることなく喚くに決まっている。

 哀しいけれど、私たちの涙も汗もオシッコも、ただの牝のはしたない分泌物に過ぎない。

「静聴。いつまでも淫らに喘ぐのはやめなさい」

 着席姿勢をとり、黒くて冷たいモノで貫かれ、あまつさえ貫かれているまさにその結合部を、股ぐらを広げて晒している私たちに、何の感情も籠らない声が教壇からふってきた。

 無機質なのは声だけではない。 私はずっと教官の顔を見続けているけれど、一度たりとも表情が変化したことはない。

「いまから番号を呼びます。 呼ばれた者は返事をして起立すること」

 まだ続くのだ。
 私たちは2度にわたる不自然な自慰と絶頂を、どうにか達成した。 擦りつづけてヒリヒリするクリトリス。 すべすべだとしても信じられない太さの棒に、えぐられつづけた膣のヒダ。 どちらもうっすらと血が滲み、壊れていないのが不思議なくらいだというのに、軟膏なりなんなりで労わることもなく、休憩する時間すらなく、またもや新しい指示がなされるのだ。

 ……私たち学園の生徒には、理不尽な時間を乗り越えるたびに、次の時間がくるのだろう。 うすうすわかってはいたけれど、これが毎日続くということは……。

 身体を強張らせる私たちに気を留めることもなく、教官は番号を告げた。

「20番」

「は、ハイ!」

 私のすぐ前。
 身長150cm足らずの、栗色の癖っ毛な女の子が椅子から立つ。 
 ツプリ。 濡れそぼった股間から黒棒を吐きだすと、20番は両手を横に、直立した。
 小顔な割りに大きくパッチリした瞳が樹上齧歯類を想起させる。 本来愛くるしいはずの瞳は、しかし、悲しいほど生気がなく、ただ怯えだけが浮かんでいる。

「29番」

「っ……ハイ!」

 私のななめ後ろで席をたつ気配。
 面識はないけれど、彼女は印象に残っている。 ぽってりした唇とおっとりと垂れた目じり。 どうみても人の好さそうな、大人しそうな様子だった。 それでいてウエストがしっかりくびれ、胸はたわわに実っていて、おそらくFカップ以上だろう。 上手くいえないが、おだやかな表情と挑発的な肉体のギャップが大きすぎて、否が応にも人目をひくタイプだ。

「33番」

「は、ハイっ」

 私からみて2列離れた、前から3番目の女の子が立ち上がった。 足の間から現れた棒は、これまでの棒と違って白い液体がこびりついている。
 確か、最初に挨拶がヘタクソな女の子が別室へ連れていかれた時、彼女はずっと目を背けていた。すぐ隣で、もしかしたら小声で正解を囁けたかもしれないのに、ひたすら自分が教官の目に留まるのを恐れるように、気配を消そうとするように見えた。 もともと教室で1、2を争う小柄な彼女が、隣の少女が責められている間、一層小さくなっていたのを覚えている。

 立たされた3人を見て、教官の意図が分かった気がした。 この3人は私たちと比べて行動が半歩遅い。 しかもどこか中途半端なのだ。 既に学園に入ってしまったというのに、傷を深めないように、安全な場所を見つけるように、自分を労わりたがる気配が漂っていて、私は違和感を感じていた。 

 勿論、私だって、彼女たちの気持ちはよくわかる。 
 私にとって、一番かわいいのは私自身の身体だ。
 けれど、自分を大切にする姿勢と私の行動原理はそぐわない。
 私はあくまで自分を汚し、貶め、嘲笑うことで生き残ろうと思っている。


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