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ちびま○子ちゃん
【その他 官能小説】

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ちびま○子ちゃん-1

(1)


「若女将」
真美子がロビーを横切って行く。
「若女将」
聞き覚えのある声だなと思いながら歩いていると、
「ちょっと、真美子さん」
呼ばれて立ち止まった。
「女将さん。おはようございます」
「おはようじゃないでしょう。若女将」
真美子は「あっ」と小さく声を上げてからぺろっと舌を出した。
(今日から若女将だった……)
「すみません……」
「いいのよ。まだぴんとこないわよね。でも、若女将よ、真美子さん。頑張って」
「はい」
女将の福子の、名前の通りのふくよかな笑顔が温かくふわりと真美子を包んだ。


 清水旅館に仲居として住み込んで一年半、ここ半年はあまりにも慌ただしくたくさんのことが重なって何が何だかわからないほどあっという間に時間が過ぎていった感があった。

 半年前、仕事を終えて仲居部屋でテレビを観ているとドアがノックされ、福子の声がした。
「真美子さん、ちょっとあたしの部屋に来ない?美味しいお茶菓子あるの」
「はい」
福子がこの部屋まで来るのは珍しいことだ。寝転んでいたのですぐに起き上がった。
「はい、すぐ行きます」
夜9時すぎ、この日は物静かな老夫婦の客が一組だけだったので手もかからず、早めにあがったのである。
 住み込みは真美子1人で他にいる5人の仲居はみんな通いだった。景気のいい頃はこの8畳間に4、5人が寝起きしたことがあったらしいが、今はほとんど近所の主婦のアルバイトで間に合ってしまう客足である。旅館にとっては困ったことだが、真美子は部屋を独占して気楽な毎日であった。
 気楽だが将来の保障はない。だけど、考えても仕方がない。
(ここがダメになったら、どこか探せばいい……)
性来、割り切りのいい性格で、しかも子供の頃から慣れ親しんだ環境もあって危機感はあまり感じなかった。

 真美子が小学校3年の時に両親は離婚した。理由はわからない。母親は何も言わなかった。父親はあまり家にいる人ではなかったので、借金なのか、女が絡んでいたのか、ともかくいろいろあったのだろう。
 どういうツテがあったのか、母親は真美子と2人で伊豆の温泉場の旅館に住む込むようになった。そこから学校に通ったのである。
 母は仲居をしながら、女将夫婦の住居の雑用までこなしていた。
 親の離婚、転校。境遇は大きな変化ではあったが心の負担は意外に少なかった。もともと父親の存在が薄かったから違和感はなく、女将も主人もいい人で真美子は自分の家のように過ごしたものだった。
 それに移った土地も同じ県内で駿河湾に面している。晴れた日に見はるかすと生まれた町がぼんやり見えることもあった。そして富士山が見える。なによりほっとしたものだった。

 友達と別れて淋しかったけれど、転校してよかったと思うこともあった。
(もう、言われなくてすむ……)
『ちびま○子』……。
一部の男子にずっと陰で言われ続けていた。友達が、「まみこ」と呼ぶのを女性器の俗語にかぶせてからかわれたのである。真美子はとても小柄である。当時は1年生ほどの身長しかなかった。ちょうどその頃、市内を舞台にしたアニメが人気になり、それも重なって『ちびま○子』とあだ名をつけられたのだった。
 ちび、と言われるのは気にならなかったが、『ま○こ』は嫌だった。しかも男子は真美子が一人の時を狙って言うのである。友達も知らないことだった。
「ちびま○こ、ちびま○こ、ちびのま○こを見せとくれ」
親にも先生にも言えなかった。もし訴えても、理由を訊かれる。
(ま○こなんて、言えない……)
子供のこととはいえ、真美子も子供、些細なことではなかった。大好きだった学校で唯一気が重い思い出だった。


 高校3年の卒業間近、母が亡くなった。倒れた時には肺炎をこじらせていて意識がもどらないまま三日後には息を引きとった。
 思えば母親は働きづめだった。週1回休日はあったけれど忙しそうな様子を見ると自ら手伝いに出て行くことがよくあった。真美子は母親とどこかへ出かけた記憶がほとんどない。いつだったか、
「こんどの休み、フェリーに乗ろうか」
港から清水港まで船が出ている。
「うん、行く」
伊豆へ来て母と遊びに出掛けるのは初めてのことだった。
「友達と会えるかな」
「商店街歩いたら誰かに会うかもしれないね」
「友達に電話してもいい?」
「うん、でも、ゆっくりはできないから……」
休みでもあまり遅くはなれない。気を遣っていたのだと思う。
結局、その話は立ち消えになった。
「団体が2つも入って、遊びには行けないよ」
「休みなのに……」
母はちょっと黙ってから、
「家賃も光熱費もなしで住まわせてもらってるんだよ。ありがたいと思わなきゃ」
わかっていた。贅沢は出来なかったけれど、不自由なく高校まで進学できたのはそのおかげだと思う。
 無理がたたったのだと母を送って真美子は1人で思った。

 真美子は高校を出たら母と一緒に仲居になるつもりでいた。実際、忙しい時には裏方の手伝いもしたことがある。
(恩返し……)
その思いもあったし、なにより旅館に住んでいて日常生活がその業務の中にあるのだ。母が就職のことを何も言わなかったのは当然旅館に勤めるものと思っていたからだろう。もしかしたら嫌も応もなく女将と話がついていたのかもしれない。
 だが、真美子は世話になった旅館を出た。……

 母方の伯父に頼み込んで祖父母が眠る墓に納骨して帰った夜、真美子の部屋に突然ご主人が入ってきた。
「旦那さん」
「わかってるよね」
「え?」
真美子は抱えられ、
「静かに。お母さんの代わりは真美ちゃんがするんだよ」
抗うと頬に平手打ちを受けて真美子は半ば失神したまま犯された。
  
 
 
  


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