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エスが続く
【OL/お姉さん 官能小説】

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3. Softly, as in a Morning Sunrise-25

 次の瞬間、手首に冷たい物が巻かれて行くのを感じた。見ることはできないが、首に感じている物と同じようなベルト状のものだ。悦子の両手に革手錠をかけた平松は手首にチェーンでつなぐと、その反対の緒に大きな金属フックをかけて左右それぞれベッドの脚に噛ませた。肘は少し曲げることはできるが、頭より下に手を下ろそうとすると、チェーンが張って動かすことができない。
「しょ、翔ちゃんっ……」
 拘束に恐懼した悦子が、不安に満ちた声で平松を呼ぶと、
「こうしたいんだ。いいでしょ?」
 と直上から顔を覗き込まれる。そう言われると何も言えない。しかも腕の自由を奪われ、抗う手段を失う不安が、逆にローターに攻め立てられている悦子の体をより敏感に研ぎ澄ましてくるのだ。
「悦子にその服着せたのは、こうしたかったから」
「……そ、そうなの?」
「ボンテージって『拘束』って意味だよ。女王様とかそういう意味じゃない」
 真上から伸ばされた舌が深く悦子の口内に入ってきて、思う存分舐め回される。両手を使えない無防備な顔を蹂躙されると、これまでのキスでは感じたことのない破滅的な快感が背中を駆け抜けていった。「悦子の好きなほうのプレイ」
「す、好きなほう……?」
「こうされるのイヤ?」
「……、……じゃ、わ、わたしのほうがブタ野郎だったんだね」
 悦子は淫欲が滲んで潤んだ瞳に小さな笑みを湛えて平松を麗しく見上げた。「野郎じゃなかった。めすぶただ……」
「悦子はブタなんかじゃないよ。こんな可愛いブタいない」
 平松も慈しみの微笑みを向けて拘束した悦子の頭を撫で、額と頬にキスをする。
「じゃ、……ドレイだ。めすどれい……」
「なりたいの?」
「……好き。翔ちゃんのならなりたい。頭おかしくなるまで愛して欲しい」
「脚開いて」
 身を起こした平松が下肢のほうへ消えていった。狭いベッドの上で、膝を立てて足の裏を大胆に開く。網タイツに彩られた美脚の内側を指でなぞると、赤いエナメル地が白いシーツの上で何度も跳ねた。
「これも使いたい」
 鞄から小型の電気マッサージ器を取り出して悦子の方へ見せる。
「さ、触ってくれないの?」
「だってまだお仕置き終わってないよ?」
「んっ……、会社に何持ってきてんのよっ、もうっ……」
 鞄の中から次々と出てくる性具。そんなものを忍ばせて、皆に見つからないように注意を払って持ってきてくれたのは、自分の『すべて』を得たいからだ。そう思うと呆れて睨んだ表情にも緩みがあって、そしてすぐに妖しく平松へ懇請する容貌に変わる。「使って。お仕置きするんでしょ?」
 脚の方からローターとは比較にならない野太い振動音が聞こえてきた。最初に押し当てられたのはM字に開いている膝頭で、ソロソロと希薄な接触で脚の内側を遡ってくる。脚の付け根に近づくにしたがってローターの振動と呼応し始めて、ショーツの中の期待感を否応にも煽ってきた。
「んっ……」
 中心に触れる直前でマッサージ器が離れると、もう一方の膝頭から遡ってくる。もちろん焦らされているのは分かっていた。二往復が限界だ。罪深い女だから、ちゃんと言わなければ応じてくれない。
「翔ちゃんっ……、ちゃんとイジってっ」
 足の裏をシーツに踏んで、開いたままの股間をもどかしげに揺すった。
「ん? してほしい?」
「してほしいです……。イジってください」
 マッサージ器のヘッドが内ももをなぞってきて、脚の付け根で止まる。もう少し進めてくれれば、待ち焦がれている場所に触れてくれる。ショートパンツ越しでも構わない。
「次の人は?」
「……え?」
「初エッチした次にエッチした人」
「ま、まだ……、訊くの?」
「うん。……すごく嫉妬してる。俺も。悦子が今までエッチしてきた相手に」
「そ、そんなのっ……、もう、今は関係ないよっ……」
「俺も悦子にキレられて、言い訳したかったんだけどね」
「うっ……」
 悦子は下唇を噛んだ。マッサージ器はまだギリギリのところに留まっている。「言ったらしてくれる?」
「ちゃんと正直に言ったらね」
 すると悦子は訊かれるままに正直にかつての恋人を話していく。普通の女ならば今の彼氏には言いたくないようなことも、マッサージ器がショートパンツの上から恥丘へ付いたり離れたり、決して悦子が満足できないだけの接触を繰り返して煽ってくると、訊かれるままに赤裸々に伝えていた。誰が悦子にさっき吐いた女王様口調の台詞を仕込んだのか。そんなことは思い出そうにも、そもそもどういう経緯で身に沁みついたか分からないのに、平松は執拗に悦子を攻めて問い質した。過去に抱かれてきた、いや『抱かれた』という感慨すら持てない男たちを思い出し、悦子は二時間ちかく決して果てることができない振動で焦らされ続け、それにしても平松に対する恨みは全く募ってこず、むしろ平松だけは自分を確かに『抱いて』くれているという思いだけを強くしていった。


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