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〈熟肉の汁〉
【鬼畜 官能小説】

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〈忌諱すべき覚醒〉-1






日は傾き、辺りは夕暮れに赤く染まる。
一時的とはいえ、獣のような男達の占有を許したアパートは、今の恭子の心情を表すかのように闇に包まれていった。

程なくして帰宅した耕二と彩矢は、明かりも点けない真っ暗な部屋の中で、布団にすっぽりと潜って身体を丸めている恭子の姿を見つけた。


『……恭子?』


耕二の声にビクンと反応し、そして恭子は怯えた様子で顔を出した。
それは今まで見た事のない異様な光景であった。


『ママ……どうしたの?お腹痛いの?』


幼い彩矢も心配した様子で、母親を気遣ってみせた。


「……ご…ごめんなさい……なんか……身体の具合が……」


恭子は囁くように話すと、再び布団の中に潜った。

耕二の顔を見てしまえば、もう自分は制御を失ってしまい、昨日・今日と続いた恥辱の被害を洗いざらい話してしまう……そう思ったのだ……。


『何時から具合が悪かったんだ?病院には行ってきたのか?』

「お昼過ぎに急に……横になったら、少し楽になったから……心配させてごめんなさい……」


耕二の労りに対しても、恭子は偽りで返す……ママ友の夫との不倫を許してくれるとは思えず、ましてや恥の上塗りの如くレイプされ、汚されてしまった自分を変わらず愛してくれるとも思えない……それに、こんな事を彩矢の前で話す訳にもいかない……恭子は完全なる秘匿と、孤独でいる事を選ばざるを得なかった……。


『そうか……じゃあお粥でも作っておくよ。枕元に置いておくから、落ち着いたら食べてね』

「……うん……」


声を詰まらせ、恭子は布団で泣き顔を隠した。

こんなにも優しい夫が居りながら、何故に他人の夫と情事を交わしてしまったのか?

一時の気の迷いが犯罪を呼び込み、今では取り返しのつかない事態にまで発展してしまっている。


『ゆっくり休んで……もし、具合が悪くなったら直ぐに言うんだよ?』

「……うん……うん………」


布団の中で背中を丸め、両手で口元を塞いで泣き声を漏らすまいとする……苦しみを一人で抱えるしかない寂しさと辛さは、未だ曾て経験した事の無い〈痛み〉であった……そして、その痛みが引けぬ間に、刻は朝を迎えた……。






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