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好き…だぁーい好きなんだからっ!
【幼馴染 恋愛小説】

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生きる喜び-1

何処までも続く青空、包み込む北風。目に映る山や建物がとても美しく感じ、希望に満ち溢れるように胸の高まりが抑えられない。

医師から手術は成功したと告げられ、最初は頑なに疑い受け入れられなかったが、体が今までに感じた事がないくらい軽く、僕にだけ肩に翼でもついたような感じで、でもそれが普通の人…という事なのだろう。そんな体を体感し、日が経つに連れ次第に疑いは晴れてきて、自分は本当に他と同じ何不自由ない健全な人間になれたと実感した。

僕は深呼吸をする、あぁ僕は生きてるんだ、心臓が動いてる。

杏の家へ着き、インターホンを快調に押す。

今朝も早くに布団から飛び出し、元気よく家族に挨拶をし、白飯をおかわり何てして、通常よりも早く家を出て。まるで元気にはしゃぐ子供のように。

杏に会いたい、今の姿を一番に見せたい人物。

「あら、絆クン。」
「あっ、オバサン、おはようございますっ!」
「…元気ね、手術上手く行ったんだ。」

僕の元気な姿を見て、自分の事のようにパァと笑みを浮かべるオバサン。

「はいっ!…今でも夢を見ている気分です。」
「ホント…良かった、本当にっ!」
「オバ…サン。」

そして泣き出してきて。杏とオバサンがとても仲が良い事は知っている、娘を自分と重ね
杏の苦しみや悲しみ、そして喜びを一心に理解して。

「娘に、杏に会いに来たんでしょう?」
「はいっ!一緒に学校へ行こうかと。」
「ありがとう、その方があの子も喜ぶわ。」
「オバサン…。」

僕はこんなんでも杏はまだ気持ちの整理がつかず、かと言って前みたいに自殺しようとまで追いつめられている訳ではなく。

あの夜、川でお互いびしょびしょになりつつも決死の訴え、どうやら届いたみたい。その次の日、目が覚めたように元気になった彼女を見て、退院させてもらえて。

こんな風になったのは他でもない僕のせいだ、だから、今度は…僕が彼女を明るく元気を与える番だ。

杏を呼びに行くと、去っていくオバサン。向こうからテレビの音を耳にする。

こんな朝早くに来て、少々申し訳ないな…。そう思っていると、こちらへ足音が向かってくる。僕は彼女が来たと思い、顔をあげると。

「あっ、オジサン……。」
「……。」

無精髭に、緩んだワイシャツ、出勤前と言う風貌。じっと僕を見つめる。

「あの、スミマセン…こんな朝早くに。」
「体は、もう大丈夫なのか?」
「はい、手術は本当に成功したみたいで、もう大人になって命を絶たれる事はありません…。」
「……そっかぁー。」

何か吹っ切れたように、不意にストレッチまがいな動作をし出す。

「全く、死にかけたかと思えば、こうして朝早くゲンキンに会いに来るとは。」
「スミマセン、自分でも少し図々しいとは自重してます、でもっ!この喜びは止められませんっ!」
「……。」
「今の僕があるのは彼女のお蔭です。…だから、今の姿をどうしても見せたくて。」
「絆、クン。」

杏は一体どう思うんだろう、少なくとも喜んでくれる筈。

「お前たちは、本当に、好きなんだな、お互いに…。」

しみじみに、遠い目で僕へ視線を向ける。

「付き合ってもいいぞ。」
「えっ?」

予想だにしない言葉。

「オジサン?」
「まぁー、お前が頼りなくて娘を振り回してるのは事実だ。でも、娘が毎日明るく楽しくいられるのも…お前のお蔭だ。」
「……。」
「ここまで来たら、もう区切りをつけよう。」

そういって改め出し、一歩下がり、深々と頭を下げる。

「杏を、大事な娘を…どうか幸せにしてやって下さい。」
「!!」

重く圧し掛かるオジサンの言動、彼もまた色々な葛藤があったのだろう。

「ちょっと、頭を上げて下さい!僕何かに、そんな。」

これはあたふたし兼ねない、すると。

「お待たせーっ!…ってあれぇー二人で何してんの?」
「いや、別に。」
「学校遅れるぞ、遅れないけど。」
「はぁ?」

意味不明な捨て台詞を吐き、何事もなかったかのように居間へ戻るオジサン。

「変なの、まぁいつもの事だけど、ささっ行きましょうかっ!」
「うん。」



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