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鎖に繋いだ錠前、それを外す鍵
【フェチ/マニア 官能小説】

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鎖に繋いだ錠前、それを外す鍵 2.-7

「なぁ、ユリ……」
 長く幸せなキスを続けたあと、智恵が瞼を開いて友梨乃を見た。
「……ん?」
「もっと、してみてええ?」
 期待と不安に胸が喘ぐ。「……チューしてみて分かったわ。……レズって気持ちよさそう。してみたい」
 侮辱には聞こえなかった。我慢できなくなって友梨乃は両腕を智恵の首に巻き付けると、「好き」という言葉と智恵の名前を何度も交互に口にしながら身を預けていった。
 舌で穿っていた時に染みた唾液に濡れるショーツの柔丘を、智恵の指が揉み解す度にその下で友梨乃の漏らした蜜がもう一つの染みを作っていた。初めてキスをした時からは比べ物にならない、友梨乃の愛しみを徴発していくかのような舌使いに姦されていく。
「ユリ、脱がして」
 智恵は友梨乃の手を取って、ホットパンツの前ボタンに手をかけさせた。友梨乃は両手を使って智恵のホットパンツを緩めていく。友梨乃に合わせて跨ったまま膝立ちに身を起こすと、片足ずつホットパンツを脱ぎ捨てたあと、友梨乃のカットソーをめくり上げて、滑らかなお腹の肌の上に腰を下ろした。
「んっ……」
 智恵の脚の間の中心が熱くなって、ショーツを濡らして雫が溢れてきているのが肌にヌメリとして伝わってくると、友梨乃はその感触だけで声を漏らして自分のショーツも染みを広げた。智恵は友梨乃の顔の両側に手を付いて、体に体重をかけ過ぎないようにしながらも、膝を使って腰を緩やかに動かし、友梨乃の肌に自らの蜜を擦りつけながら、
「……ニセモンって言われたんがそんなにイヤやったんや?」
 と見下ろして言った。
 智恵と通じた友梨乃は、智恵が求めてくる度に受け入れた。好きとは言ったが、付き合おうとはなっていない。恋人になりたいと友梨乃は思っていた。だが、生まれて初めて受け入れてもらえる相手を見つけて、なおそれ以上望むのは不相応だと思った。智恵がリビングで絡みついてきたり、夜中に友梨乃の布団の中に潜り込んでくると、すぐに友梨乃の体は緩んで、智恵のなすがままになった。智恵の指が友梨乃の脚の間の中心を開いて唇で吸われ、智恵の同じ場所も吸って欲しいと求められると応じ、お互いの場所を擦りつけると、友梨乃は自分でも恥ずかしくなるほどの声と蜜を漏らしていた。智恵が絶頂に満足して眠りに落ちてしまうまでずっと愛戯は続いた。友梨乃は智恵と体を合わせる度、この時間が終わりなく永劫続いてもいいと思った。
 同居を初めて一年近くが過ぎたころ、智恵が、彼氏ができた、と言った。ショックだった。だが智恵は友梨乃に対して折々、自分は基本的には男が好きだし、男に抱かれたいと思う、と言っていた。最初からそう言っていた。だから智恵が男の恋人を作ることを友梨乃には非難できなかったし、拒絶することもできなかった。そして恋人ができた報告をした直後に智恵は友梨乃を抱いてきた。男の恋人ができても自分に手を出してくれることに嬉しさを感じてしまい受け入れてしまった。恋人ができても、この関係を続けてくれると思った。
 だが、やがて智恵の抱き方が変わってきた。これまでも意地の悪いことを言って友梨乃を恥じ入らせたり、焦らしたりしてきたが、それはじゃれ合っている延長のようなものだった。
「気持ちええの? ……男知らんくせに、すっごい濡らして。なんのため? コレ」
 友梨乃の体を弄りながら、智恵はそんな囁きをするようになってきた。その後に慈しみの言葉とともに抱きしめられるフォローはなくなった。友梨乃の資質を嘲弄し、なのにそのことで淫靡な反応を示す体に智恵の手で変えられたことを軽侮される。しかし、抱かれる度に哀しみに潰されそうになりながら、快楽と自分の居場所のために、友梨乃はそこから逃れることができなかった。
 そしてある夜、友梨乃を玩弄しながら、智恵が耳元で言った。
「なぁ……、ユリ。バージン、もろてええ?」
 何度も智恵に悦びを味わされて頭が痺れているところに聞こえてきた。
「あ――、あっ……」
 智恵が見せてきたモノを見て友梨乃は声が出なかった。勃起した男茎の姿をしたディルドは、淡すぎる肌色をしていたが、グロテスクなまでに精密に作られており、あまりの生々しさに友梨乃は恐怖心すら覚えた。しかもそのディルドは二つの男茎の根元が繋げられた双頭をしていた。そして智恵の言葉が聞こえてきた。
「んっ……、ウチが……、ユリをオンナにしたげる」
 智恵は立膝でディルドを持つと真下から自分の中へ沈めていった。そして革製のショーツを取り出すと、穴の空いた前腹部にディルドを通して、腰の後ろでベルトを閉めた。手を離しても、ディルドは智恵の下腹部に、男の勃起と同じ角度で生い伸びている。智恵がその根元を握りながら仰向けにさせた友梨乃の脚を開かせ、その中心に紛い物の亀頭を押し当てると、友梨乃は髪を揺すって小さく首を振った。
 以来智恵は友梨乃に必ずディルドを使った。智恵の指や舌で体をなぞられ、お互いの秘部をこすり合わせる時は、友梨乃は融け落ち、智恵のことを愛しく思った。だがディルドで貫かれるときは、その異形の無機物への恐怖が勝り、勝るのに淫らな反応でこれを迎え入れる自分の体に対する忌諱に苦しめられた。
 智恵は跨っていた友梨乃から降りて、クローゼットを開けると、そこに仕舞ってあったディルドを立ったまま悩ましい声を漏らして体の中に埋めてベルトで装着した。振り返り、服をはだけさせて泣き濡れる友梨乃を見下ろして、
「今日もニセモンのコレ、あげる」
 智恵は友梨乃の脚を乱暴に開かせて前屈みになると、クロッチをズラして先端をあてがってきた。
「……ニセモノなんかじゃない」


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