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THE 変人
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上司と部下-1

 事務所に帰ると、もう仕事上がりの時間だというのに2人を心配していた社員が多く残っていた。海斗が内容を報告する。海斗はまるで紙芝居をするかのようにオーバーアクションをつけながら説明。それを聞く社員達はやはり紙芝居を胸をドキドキさせながら聞く観客のようだった。
 「スゲーな海斗!まさか柴原と知り合いだったとはな!」
 「やる事が違うな!」
湧き上がる事務所。海斗は意気揚々と話していた。
 「見ろ幸代!小さなお店でのトラブル解決をまるで億単位の契約をとってきたかのように沸かせる俺!スゲーだろ!?」
今日ばかりは素直に頷いた。
 「はい!」
幸代の笑顔を見て満足げに笑った海斗。それはいつも反抗してくる幸代をギャフンと言わせたからではなく、ようやくスッキリとした笑顔を見せたからだ。勿論そんな事は口が裂けても言わないが…。
 心配していた知香が海斗の腕を抱きしめてきた。
 「良かった〜海斗さん♪心配してたんですから〜!」
思わずデレッとする海斗。
 「ありがとう知香ちゃ〜ん!頑張ったご褒美にオッパイ揉ませてよ〜!」
 「それはダメ〜♪」
 「いいじゃあないの〜♪」
 「ダメよ〜、ダメダメ♪」
 「んだよ〜!俺のフナッシーを梨汁プシャ〜ってさせてよ〜!」
 「させませ〜ん♪」
そんなセクハラまがいのやりとりに笑い声が起きる。幸代も笑ってはいたが、何故か胸にもやもやとしたものを感じる。
 (デレデレしちゃって…。)
気付けば唇を尖らせていた。
 (私が梨汁をプシャーってしてあげるわよ…。…って私、何を考えてるの!?)
自分でも予想外の事を考えてしまった。幸代はそんな事を考えてしまったのは今回海斗に心から感謝し、同時に自分が弱っているからだと思いきかせた。騒ぎも一段落つき、それぞれ事務所を後にして行った。
 「海斗も田崎も今日はもう上がれ。」
 「あ、はい。あ、部長、明日午後から真島アントルーズの試合観てきます。柴原からチケット貰ったんで。せっかくのお誘いだから。」
 「まぁいいだろ!田崎もか?」
 「わ、私…?」
 「チケット2枚貰ったんで。」
海斗の顔を見る幸代。
 「いいだろ!デートでもしてこい!」
 「で、デート!?」
顔を真っ赤にした幸代。
 「ハハハ!これも仕事のうちですよ!じゃ帰るぞ幸代!」
 「あ、はい…。お疲れ様でした。」
 「お疲れ〜!」
海斗は帰って行った。
 「惚れたか?海斗に?」
 「!?ま、まさか…!でも、尊敬はしました。」
安田はニコッと笑った。
 「そうか。ほらもう帰れ。」
 「あ、はい。色々とご迷惑をおかけ致しました。お疲れ様でした。」
 「おう!」
幸代を見送る安田。
 「惚れたな…ヒヒヒ!」
何だか楽しくなってきた安田部長だった。


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